街は大さわぎ ― 2022年04月25日 19:37
街は大さわぎ
ゆうちゃんのママは、ベビーカーをおしてお買いもの。
「こんやのおかずは何にしようかな。」
そこでバッタリ近所のおくさん。二人はそのままたちばなし。五分、十分、十五分。おしゃべりまだまだ止まらない。
ゆうちゃんとってもつまらない。そこへきたのが、ノラ犬ノラボ。
「おい、ゆうちゃん。たいくつそうだね。」
「バブバブ、ママったらぼくのこと忘れてるみたい。」
「おいらの背中にのりなよ。散歩でもしようぜ。」
二人(おっと、ひとりといっぴき)は、のんびりぶらりとお散歩に。
しばらくたって、ゆうちゃんママ、
「あらたいへん。ゆうちゃんがいないわ。」
ベビーカーをひっくり返しても、見つからない。そこで、近所のおくさんに、
「おくさんがいけないのよ。」
「まあ、しつれいね。」
近所のおくさん、団地にむかってさけんだら、団地中の窓があいたり、とじたり。窓がいっせいにさけんだ。
「まあ、しつれいね。」
ママは、今度はベビーカーにやつあたり。
「あんたがわるいのよ。」
「やあ、しっけいな。」
ベビーカーは、公園にいってさけんだ。ベンチにブランコ、三輪車、口をそろえてさけんだ。
「やあ、しっけいな。」
次にママ、通りかかったネコ君けとばして、
「あんたがわるいのよ。」
びっくりネコ君、屋根にとびあがり、
「なんて、ぶれいな。」
すると、街じゅうのネコもネズミもニワトリも
「なんて、ぶれいな。」
おしまいに、どこの家もえんとつも、並木も道も電柱も、みいんなめいめいいっせいに、
「あんたがわるいんだ。」
「いやいや、きみがいけないよ。」
「そうじゃないさ。おまえのせいだ。」
街がみんなで大さわぎ。
そのころゆうちゃん、ベッドの中。散歩につかれておうちにかえり、すやすやとっくに夢のなか。
おやすみなさい。
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