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    <title>創作民話の森</title>
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    <language>ja</language>
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    <pubDate>Mon, 15 Apr 2024 22:05:57 +0900</pubDate>
    <item>
      <title>百舌鳥（モズ）</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2023/10/05/9623125</link>
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      <pubDate>Thu, 05 Oct 2023 16:39:56 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-14T23:57:08+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2023-10-05T16:51:44+09:00</dcterms:created>
      <description>　今回は、秋に庭先でよく見かける百舌のお話しです。かわいらしい小鳥ですが、けっこう気性が荒く、くちばしもまるでわしのような形です。庭木の小枝にカエルやコオロギ、カマキリ、カナヘビなどを串刺しにします。冬の保存食なのですが、彼らにとってはこれが重要なのです。たくさん用意しておいて、冬のあいだ豊富に栄養を蓄えることができるオスが、メスにもてるのですから。&#13;&lt;br&gt;
　ほかのオスとなわばり争いをして、広いエリアを支配できたということで、優勢になるのでしょう。そんな百舌の、少し間の抜けたお話しです。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
百舌鳥（モズ）&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　モズという鳥は決して美しい鳥ではありません。頭と胸が茶色、背は灰色。目はまるで盗賊のように、黒い帯線の中に隠れています。鳴き声にしても甲高く、「キチキチキチ、キューイキューイ」とけたたましく、どちらかというと耳障りなくらいです。&#13;&lt;br&gt;
　20センチほどの体で、あまり大きくはありませんが、けっこう獰猛です。軒先の籠に飼っている小鳥の首だけを、もぎっていってしまうこともよくあります。&#13;&lt;br&gt;
　冬、庭先などで、木の小枝に虫やカエルが串刺しにされているのを見たことが、あるでしょう。「モズのはやにえ」といって、春までのかれらの保存食なのです。&#13;&lt;br&gt;
　そのように暴れん坊のモズと、仲良くしようと思う鳥など、おりませんでした。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ある日、モズが庭木の高い梢にとまって、あたりに獲物はいないかと見まわしていますと、どこからともなく、美しい声が聞こえてきました。誰が歌っているのだろうと、耳を澄ませていると、尾をせわし気に振りながら、キビタキが姿を現しました。&#13;&lt;br&gt;
　キビタキは、モズよりもやや小ぶりな、とても美しい鳥です。頭から背にかけてはつやのある黒、腰の部分とお腹が鮮やかな黄色に染まっています。姿も美しいのですが、その鳴き声も「チュルリ、ピヤヒョイ」ととても美しく響きます。&#13;&lt;br&gt;
　モズは思いました。「おれも、あんなふうに美しく歌いたいものだ。そうすれば、ほかの鳥どももおれを仲間だと思うに違いない。」&#13;&lt;br&gt;
　モズは、キビタキのあとを追って、一生懸命その鳴き声をまねてみました。毎日まいにち、キビタキが現れるのを待ち、追いかけては鳴き声のまねをしました。最初のうちは、「ギュルリ、ビヤビヤ」と、キビタキに似てもにつかない鳴き声でしたが、十日もするとだんだんキビタキに似てきました。十一日目にはすっかり、キビタキの鳴き声になっていました。&#13;&lt;br&gt;
　モズは、毎朝高い木の梢にとまっては「チュルリ、ピヤヒョイ」と鳴いて、のどの自慢をしました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　いつものようにのど自慢をしていると、どこからか美しい鳥の声が聞こえてきました。「ツイピィー、ツイピィー」シジュウカラたちです。&#13;&lt;br&gt;
　十羽ほどのシジュウカラが、楽しそうにさえずりあいながら朝の食事を楽しんでいました。モズは、のど自慢を忘れて、その歌声に聞きほれていました。&#13;&lt;br&gt;
　「ツイッピー、ツイッピー、ツイッピー、ツイツイツイ」&#13;&lt;br&gt;
　もうモズは、われを忘れてシジュウカラたちのあとを追いました。「ツイ、ツイ」と鳴くのは簡単にまねできました。でも、「ツイッピー、ツイッピー」はなかなかむずかしく、結局十日もシジュウカラのあとを追い続けたのです。そのおかげで、十一日目には、シジュウカラたちよりも上手に「ツイッピー、ツイッピー、ツイッツツピー、ツイツイツイ」と鳴くことができるようになりました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　モズは、それからもほかの鳥たちの歌を追い求めたのですが、以前よりも、誰にも相手にされなくなってしまいました。それはそうでしょう、暴れん坊のモズに自分の歌をまねされるなんて誰でもぞっとするほどいやなものです。&#13;&lt;br&gt;
　カシラダカが仲間の声をきいて、近づいて行ったところ、盗賊顔のモズが仲間の声をまねしていたし、ウグイスやヨシキリなど多くの鳥たちが、同じようにいやな思いを何度もしたのでした。&#13;&lt;br&gt;
それでも、モズは毎日まいにちいろんな鳥たちの声をまねして、気持ちよくのど自慢をしていました。山奥にすむオオルリやコマドリの歌さえもまねできるようになっていました。もう、モズにまねできない鳥の声はありません。&#13;&lt;br&gt;
ある日モズは、かわいらしいメスの姿を見かけました。とっさに恋の歌をうたおうとしました。が、あれっ、自分の歌が出てきません。モズは自分の本当の歌をいつのまにか忘れてしまっていたのです。そこでモズは、ほかの鳥たちに「おれの本当の歌って、どんなだった？」ときいて回りました。けれども、誰も答えてくれません。それどころか、みんなモズとかかわるのをいやがって、逃げまわるばかりです。それはそうです。さんざん他人のものまねをして、乱暴ばかりしてきたのですから。&#13;&lt;br&gt;
それからずうっとです。モズは「ケチケチケチ、ケチケチケチ、キョッキョッキョッ」と甲高い声で鳴いては、ほかの小鳥たちを追い回しています。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>民話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>創作民話 けものと信号機</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2023/07/01/9598501</link>
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      <pubDate>Sat, 01 Jul 2023 09:48:22 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-14T23:57:34+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2023-07-01T10:03:39+09:00</dcterms:created>
      <description>      けものと信号機&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
  下君田に住むのけものたちは、大騒ぎです。大塚神社の角の十字路に、新たに信号機が設置されるといううわさが、神社のカヤの樹に住むカケスによってもたらされたからです。&#13;&lt;br&gt;
　けものたちには、信号機そのものが分かりません。&#13;&lt;br&gt;
　「信号機ってなんだ？」&#13;&lt;br&gt;
　訳知り顔のけものが幾人か、何かしら説明しようとしますが、土台知らないものなのでさっぱり要領を得ません。&#13;&lt;br&gt;
　そこで、やはり神社の大杉に住むフクロウ爺さんが、おもむろに話しはじめました。&#13;&lt;br&gt;
　「ほれ、大塚神社の所は、小神戸からきて町へ降りていく道と、学校の方から降りてきて、栄橋の方へと行く道が交差しておるじゃろ。」&#13;&lt;br&gt;
　「うん、うん。」&#13;&lt;br&gt;
みんなはうなづきました。&#13;&lt;br&gt;
　「人間は、どちらから来たものがその交差点を通って良いのか、灯りの色～これを信号というのじゃが～で分かるようにルールを決めておるんじゃ。横断歩道が一緒にできるはずなので、我々けものは、その灯りの指示に従って、横断歩道を渡ることになる。&#13;&lt;br&gt;
　争いが起こらないよう、ルールを決めて、それをお互いが守っていくというのは、我らが見習うべき人間の美徳だな。」&#13;&lt;br&gt;
　「うん、うん。」&#13;&lt;br&gt;
みんなはうなづきました。&#13;&lt;br&gt;
　「そのルールは、“法”といってじゃな、三千年の昔・・・・」&#13;&lt;br&gt;
　「じいさん、そこまででいい。それ以上は、長くなっていかん。&#13;&lt;br&gt;
　それよりも、その信号とやらのルールとやらを教えてくれ。」&#13;&lt;br&gt;
と、松岩寺の柴犬、ポチがさえぎりました。&#13;&lt;br&gt;
　「まったく、若い者は向学心というものがないで困るよのう。」&#13;&lt;br&gt;
　フクロウのじいさんは、ひとりごちました。　さあ、次の日からフクロウのじいさんと、最近街内から引っ越してきたカラスの葛丸が先生になって、信号の特訓が始まりました。　葛丸は、田舎のほうが空気が新鮮で、喘息気味の自分にとっては、ここの暮らしのほうが「理想的」だといって、いつの間にかいついてしまった街ガラスです。&#13;&lt;br&gt;
　街ガラスだけあって、信号なんてものは見慣れすぎて、そこにあってももう目に入らないくらいだと、うそぶいていました。&#13;&lt;br&gt;
　だいたい、葛丸はずい分いやしいまねをして、カラス仲間から袋叩きにあって、追い出されたのですが、山のけものたちにはそんなことは知る由もありません。&#13;&lt;br&gt;
　あ、ちょっとばかり話が横道にそれましたね。信号機の特訓の話に戻しましょう。&#13;&lt;br&gt;
　狐の勇作一家が、フクロウ爺さんの命令で信号機に変身させられていました。勇作がもともと松本商店があった角に立ち、奥さんの花子が（ちょっと古風な名前ですね）鈴木さんちの角に、大塚神社の方には長男の文治（これも古風な名前ですねえ）、今の松本商店側には次男の次郎（またまたこれも）古風な・・・、えっ、しつっこいって）が立ちました。&#13;&lt;br&gt;
　口にそれぞれ、近所の鈴木さんちの畑からもぎってきた緑、赤、黄いろのパプリカをくわえていました。&#13;&lt;br&gt;
  「おい、モウシンよ、準備はよいか。」&#13;&lt;br&gt;
じいさんがイノシシに声を掛けました。&#13;&lt;br&gt;
　イノシシのモウシンは、&#13;&lt;br&gt;
　「いつでもオッケーだ。」&#13;&lt;br&gt;
と、前足で地面をひっかきました。&#13;&lt;br&gt;
　「おいおいモウシンよ、そんなに猛進せんでもよいのだ。」&#13;&lt;br&gt;
　最初に山鳩のソウさん一家が、横断歩道のへりに立ちました。そこへイノシシのモウシンが、学校の方から走ってきて、横断歩道の手前で止まりました。勇作と花子のくわえているパプリカが赤だからですそして、歩行者横断側に向かっては、緑のパプリカを手でかざしています。これは、獣が道路を横断してもよいという合図です。&#13;&lt;br&gt;
　「はい、今だ。渡って！」&#13;&lt;br&gt;
　葛丸の大きな声に驚いて、山鳩のソウさんは思い切り飛び上がりました。そして、神社の杉の木立へと消えていったのです。&#13;&lt;br&gt;
　みんなは、あんぐりと口を開けて、それを見送っていました。&#13;&lt;br&gt;
　葛丸がしゃがれ声になってわめきます。&#13;&lt;br&gt;
　「大体にして、鳥に信号なんか必要ないんだ。空を飛んでいるのに、なんで自動車を気にしなければならないんだ。」&#13;&lt;br&gt;
　「もっともだ、もっともだ。」&#13;&lt;br&gt;
みんなうなづきました。&#13;&lt;br&gt;
　そのとき、人ごみの後ろから声が上がりました。&#13;&lt;br&gt;
　「そんなことないわよ。鳥だって必要な者たちがいるわ。」&#13;&lt;br&gt;
それは、ヤマドリでした。彼らは普段、一家総出でぞろぞろと地上を歩き回るのです。キジたちもそうです。&#13;&lt;br&gt;
　「わかった、わかった。それじゃ、そんな皆さんも参加してください。」&#13;&lt;br&gt;
　さあ、もう一度仕切り直しです。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>創作民話 風邪ひき</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2023/05/26/9589237</link>
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      <pubDate>Fri, 26 May 2023 12:04:46 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-14T23:57:59+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2023-05-26T12:12:17+09:00</dcterms:created>
      <description>　鳥たちも恋の季節です。ブロック塀の穴を使って、シジュウカラがかくれんぼをしていました。奥側の男性（と勝手に想像して）がしばらく塀のうえで何か探していました。しばらく様子を見ていると、一つの穴に頭を突っ込んで「みいつけた！」と囀りました。すると、手前側の女性（と勝手に想像して）が穴から姿を現したのです。&#13;&lt;br&gt;
　連続で撮ったので、全部お見せできれば良いのですが、これ一枚で我慢してください。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　　　　　風邪ひき&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　むかし、あるところにおじいさんとおばあさんが、住んでおりました。近所の人たちは、とても仲むつまじい夫婦だと、評判しておりました。おばあさんが、いつでもおじいさんのことを気づかって、細やかにあれこれとお世話している様子を見ていたからです。&#13;&lt;br&gt;
　おじいさんの大好きなお酒を切らすことがないようにと、毎日酒屋さんに買いに行くのを見ていましたし、おじいさんが酔っ払ってわがまま言うのを、いやな顔一つせずに、「ほれおじいさん、足元に気をつけてくださいよ。」と、にこにこ介抱しているのを見ていたからです。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ある日、おばあさんが風邪をひいたらしく、つらそうにしておりました。それでも畑の野菜は水を欲しがるし、草が伸びるのは待ってくれません。おじいさんの身の周りのこともしないとならず、一生懸命お仕事をしました。二日、三日と日がたつにつれ、本当につらそうなのが、誰が見てもわかるほどでした。&#13;&lt;br&gt;
　そんなおばあさんの様子を見て、おじいさんは「仕事がいやで、つらそうなふりをしているのだな。けしかんばあさんだ。」と考えました。しかし考えようによっては、これは良い機会かもしれないと、おじいさんは思いました。&#13;&lt;br&gt;
　おじいさんは、「そんなに具合が悪いのだったら、奥の間に布団を敷いて寝ているがいい。」と言いました。おばあさんは、おじいさんの優しい言葉に涙が出そうになり、「じゃあおじいさん、申し訳ありませんが少し横にさせてもらいますね。」と、奥の部屋で布団にもぐりこみました。&#13;&lt;br&gt;
おばあさんが寝込んだのをたしかめると、おじいさんは酒びんと茶碗を取り出し、好きなだけお酒を飲みました。&#13;&lt;br&gt;
　おそばをゆで、ひとりで「ズズ－、ズズズー」とすすりました。おばあさんは布団の中で、「私の風邪をおじいさんに移してしまったのだねえ。あんなに強く鼻をかんでいるのだもの。」とおじいさんにすまなく思いました。&#13;&lt;br&gt;
　次におじいさんは、豆の入った鍋を囲炉裏の火にかけました。豆はパチパチと忙しく、楽しそうに跳ねまわりました。&#13;&lt;br&gt;
　おばあさんは、「あらあら、おじいさんがわたしのためにおかゆを作るのに、囲炉裏に小枝をくべているんだね。すまないねえ。」と考えながら、いつの間にか眠ってしまいました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　そんなある日、今度はおじいさんが具合悪くなりました。おばあさんはとても心配して、静かに寝ていられるように奥の部屋に急いで布団を敷き、そこにおじいさんを寝かせました。&#13;&lt;br&gt;
　するとおじいさんは、「ばあさんはおれのことを、こんなところに閉じ込めて、一人で好きほうだいをするするつもりだな。」と考えました。&#13;&lt;br&gt;
　まだ治りきってはいないおばあさんは、茶の間で鼻をかみました。「ずずずー」と大きな音で、鼻をかんだのです。&#13;&lt;br&gt;
　その音を奥の部屋で聞いたおじいさんは、「やや、ばあさんは一人っきりでそばをすすっているな。まったくひどい奴だ。」とくやしがりました。&#13;&lt;br&gt;
　おばあさんは、おじいさんに温かいおかゆを作ってあげようと、囲炉裏に小枝をくべました。すると、囲炉裏はパチパチと愉快そうな音をたてました。&#13;&lt;br&gt;
　その音をきくとおじいさんは、「あれ、ばあさんは一人で豆をいって食べているのだな。意地きたない奴だ。」と思いました。&#13;&lt;br&gt;
　おばあさんが、温かいお粥を枕元に運んでくると、「自分は散々においしいものを食べておいて、俺にはこんな粗末な粥をいっぱいきりしか食わせないのか。本当にひどいばあさんだ。」と考えたのです。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　おじいさんもおばあさんも、すっかり病気が治ったある日、おじいさんが言いました。&#13;&lt;br&gt;
　「やいばあさん、長いことおまえと連れ添ってきたが、お前がこれほど意地きたない奴だとは知らなかった。もう顔も見たくないから、出て行け。」&#13;&lt;br&gt;
　おばあさんはもう、ただびっくり。「おじいさん、何のことを言っているんですか？」と、聞き返しましたが、おじいさんは聞く耳がありませんでした。おばあさんは、泣く泣く遠い実家へ帰っていきました。&#13;&lt;br&gt;
　これで余分なばあさんはいなくなった、好きなものを好きなだけ独り占めできるわい。おじいさんは、晴れ晴れとした気持ちになり、毎日まいにちお酒を飲み、好きなだけ食っては寝ていました。&#13;&lt;br&gt;
　でも、畑の野菜たちは喉がかわいて、しなびてしまいました。雑草はおばあさんに引き抜かれることがないので、思い切り背伸びしました。&#13;&lt;br&gt;
　おじいさんは、久しぶりに野菜をとりに畑に出てみて、びっくりしてしまいました。もうそこは、畑と呼べるようなものではなく、背の高い雑草ばかりの草原になっていました。&#13;&lt;br&gt;
　おじいさんは、飲むお酒もなくなり、食べるものも何一つなくなってしまい、また具合が悪くなり寝込んでしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　そこへ、おばあさんがおじいさんを心配して、戻ってまいりました。さっそく実家から背負ってきたお米とお味噌で、おじいさんに温かいご飯を作ってあげました。お酒も少しですが、持ってまいりましたので、飲ませてあげました。&#13;&lt;br&gt;
　おじいさんは何にも言わないで、お酒を飲みご飯を食べると、照れくさそうにまた布団にもぐりこんでしまいました。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>民話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>創作民話 カエルのレインウェア</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2023/04/28/9580969</link>
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      <pubDate>Fri, 28 Apr 2023 09:34:34 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-14T23:58:20+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2023-04-28T09:42:51+09:00</dcterms:created>
      <description>　　　　　　　カエルのレインウェア&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　鈴木さんちの田んぼにすんでいる、トノサマガエルのユーチカは素敵なレインウェアがほしくなりました。&#13;&lt;br&gt;
　みなさんは、カエルは雨が大好きだと思っておられるでしょう。でも本当はそうではないのですよ。だってそうでしょう、人間にとっては、雨つぶなんてものは小さいから、体にあたっても痛くもかゆくもありませんよね。ところが、カエルたちにとってはそうではありません。&#13;&lt;br&gt;
　人間でいえばソフトボールくらいの大きさの雨つぶが、空から降ってきて裸の体にあたるのですよ。顔にあたったりしたら、鼻の穴がふさがれて、息ができなくなることもあり、ブルブルってして「あー、死ぬかと思った」なんてこともあるのです。&#13;&lt;br&gt;
　なので、雨になるとカエルたちは、田んぼの水にすっかりつかって、「雨よぉ、早くやめ！早くやめ！」と、みんなでお祈りの大合唱をするのです。けっして喜んで鳴いているのではありません。&#13;&lt;br&gt;
　そんなですからユーチカは、雨の日に着ることができるレインウェアがほしくなったのです。&#13;&lt;br&gt;
　ユーチカはまず、カミキリムシのクラホシを訪ねました。&#13;&lt;br&gt;
　「クラホシさん、素敵なレインウェアがほしいので、桑の葉で生地をつくっておくれ。」&#13;&lt;br&gt;
　「いいともよ。葉脈の少ないところをえらんで、体によくフィットする生地をつくってさしあげようね。」&#13;&lt;br&gt;
　クラホシは二つ返事で引き受けました。さっそく翌日、クラホシが桑の葉でつくった生地をもって、鈴木さんちの田んぼへ届けにきてくれました。&#13;&lt;br&gt;
　ユーチカはつぎに、大きな樫の樹にすんでいるクモのタンブリのところへいきました。トノサマガエルは、アマガエルとちがって、木のぼりがじょうずではありません。でも、素敵なレインウェアのためです。いっしょうけんめい樫の樹をのぼっていきました。&#13;&lt;br&gt;
　「タンブリさん、この生地で素敵なレインウェアを仕立てておくれ。くれぐれも縫い目から水が入らないようにたのみたいんだけど。」&#13;&lt;br&gt;
　「ユーチカさん、まかせてください。この生地できっと良いレインウェアをつくってさしあげましょう。」&#13;&lt;br&gt;
　翌日、クモのタンブリが鈴木さんちの田んぼにやってまいりました。ユーチカはうれしくて、タンブリに何度もなんどもお礼をいいました。&#13;&lt;br&gt;
いく日かして、ユーチカが心まちにしていた雨が降りだしました。さっそく、桑の葉でつくったレインウェアを着こみます。&#13;&lt;br&gt;
　でも、しばらくするとレインウェアがバラバラになってしまいました。クモのタンブリは、生地をていねいに縫いつけずに、クモ糸の接着剤でべとべとつなぎ合わせただけだったのです。ユーチカは、足元にちらばった桑の葉をながめながら、ぼうぜんと雨に打たれていました。&#13;&lt;br&gt;
　次の晴れた日に、ユーチカはカイコのモリーナの家にいきました。なんどもいいますが、トノサマガエルはアマガエルとちがって、木のぼりがじょうずではありません。でも、素敵なレインウェアのためです。一生懸命に桑の木をのぼり、モリーナの家の戸をたたきました。&#13;&lt;br&gt;
　「モリーナさん、このバラバラになったレインウェアをしっかりと縫いつけていただけないかしら。」&#13;&lt;br&gt;
　「あらあら、やわらくてすじの少ないすてきな生地ですこと。これなら、あなたの体にぴったりのレインウェアをつくれますよ。」&#13;&lt;br&gt;
　モリーナはこころよく引き受けてくれました。翌日、モリーナが鈴木さんちの田んぼへやってきました。&#13;&lt;br&gt;
　「どうも下草の上を歩くのが苦手でね。もごもご・・・。」&#13;&lt;br&gt;
モリーナの仕立てたレインウェアはとてもすてきなものでした。美しい生糸でしっかりと縫いつけてあり、どんなところからも雨がしみてこないように仕上がっています。ユーチカはとても満足でした。&#13;&lt;br&gt;
　「ありがとうモリーナさん、桑の木までお送りしましょう。」&#13;&lt;br&gt;
　ユーチカは大喜びで、モリーナを背中に乗せ、桑の木へ送っていきました。&#13;&lt;br&gt;
　ユーチカの素敵なレインウェアを見て、仲間のポーシュは自分も同じレインウェアが欲しくてたまらなくなりました。そこで、カミキリムシのクラホシに桑の葉の生地を作ってもらい、次に樫の樹を一生懸命のぼり、クモのタンブリに仕立てをお願いしました。ポーシュは、ユーチカが最初のレインウェアがバラバラになったのを知らなかったのです。だから、クモのタンブリが手抜きのお仕事をすることを知りませんでした。&#13;&lt;br&gt;
　雨の日にポーシュは、先日のユーチカのようにぼうぜんとしていました。足元にはバラバラになった桑の葉が散乱していました。&#13;&lt;br&gt;
ポーシュはひと声「ゲコ」とないて、タンブリのところへ跳ねていきました。とても早く跳ねていきました。&#13;&lt;br&gt;
　トノサマガエルのポーシュも、やはり木のぼりが苦手でした。苦労しながらタンブリの住む樫の樹を一生懸命のぼって、タンブリの家の戸をたたきました。&#13;&lt;br&gt;
　クモのタンブリは眠そうにしながら戸を開けて、おっくうそうに出てまいりました。&#13;&lt;br&gt;
　「やあポーシュさん、朝早くからなんだね？お礼ならいつでもいいのに‥‥」&#13;&lt;br&gt;
　タンブリの言葉を聞きおえるかおわらないかのうちに、ポーシュはひと声「ゲコ」とないて、タンブリを呑みこんでしまいました。&lt;br&gt;
</description>
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      <title>創作民話 野原の診療所</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2023/03/29/9573083</link>
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      <pubDate>Wed, 29 Mar 2023 23:19:40 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-14T23:58:38+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2023-03-29T23:24:12+09:00</dcterms:created>
      <description>  野原の診療所&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　さきほどザッザーと吹いた風は、もうむこうの尾根をひといきにかけのぼっていきます。&#13;&lt;br&gt;
　金蔵さんは、肩の鉄砲を背負いなおしながら、ふり返って清吉さんにききました。&#13;&lt;br&gt;
　「まだ痛むのかい。」&#13;&lt;br&gt;
　「ううむ。」&#13;&lt;br&gt;
　左手でほっぺたをおさえ、眼をウサギよりももっと真っ赤にした清吉さんは、口を開くことさえかなわないというふうに返事をしました。&#13;&lt;br&gt;
　実は、鉄砲うちの上手な金蔵さんにさそわれて、清吉さんは初めて猟にきたのですが、まだけものの姿も見ないうちに、古い虫歯が痛みだしたのです。&#13;&lt;br&gt;
　「けものを射ち殺そうなどと思った罰があたったのだよねえ。」&#13;&lt;br&gt;
　清吉さんが顔をクショクショさせていうと、金蔵さんは半分ふてて首をふりました。&#13;&lt;br&gt;
　「そんなことをいったら、わたしはどうなるのだね。もう長いこと猟をしているのだよ。わたしの方こそ罰があたるはずじゃあないか。考えすぎだよ。」&#13;&lt;br&gt;
　それからしばらくは、二人ともお互いに自分でいったことに悪い気持がして、だまったまま歩きつづけました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　やがて、森の木々がまばらになり、ススキ原の青い波が陽の光をはねかえしながら、目の前におしよせてきました。&#13;&lt;br&gt;
　「こういう葉っぱは、よく手を切るんだ。気をつけなくちゃあね。」&#13;&lt;br&gt;
　ぶつぶつとつぶやきながら、ススキの海を先になって泳いでいた金蔵さんが、とつぜん「あっ！」と声をあげました。&#13;&lt;br&gt;
　「やあ、よかった。こんな山奥に診療所があるなんて。ほらごらんよ、うまいことに歯科の看板も出ているぜ。」&#13;&lt;br&gt;
　肩の鉄砲をいまいちどかつぎなおし、額の汗をひとぬぐいすると、清吉さんの手をぐいと引っぱってズンズン急ぎだしました。&#13;&lt;br&gt;
　小さな農家を改造しただけの、そまつな診療所のなかへ、金蔵さんは先に立ってドシドシ入っていくと、受付の前に立ちました。窓ごしに、看護士さんの白い服が動いて見えます。&#13;&lt;br&gt;
　「ごめんなさい。実は、つれの清吉さんの虫歯が痛みますもので、どうぞ見てやってください。」&#13;&lt;br&gt;
　なかから、女の人の声が答えました。&#13;&lt;br&gt;
　「そこにかけて、お待ちください。順番がきましたら、呼びますので。」&#13;&lt;br&gt;
　二人はだれもいない待合室のイスに腰をおろしました。金蔵さんは、一つの長いすをまるでひとりじめするように、長々と横になると、大きなあくびを一つして、うとうとしはじめました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　『やっぱり、ぼくは罰があたったんだ』と思いながら、清吉さんが歯の痛いのこらえていると、やがて「どうぞ、お入りください。」と声がしました。&#13;&lt;br&gt;
　「あっ！」&#13;&lt;br&gt;
　診察室に足をふみいれて、清吉さんは思わず息をのみました。なんと不思議な光景でしょう。いそがしくたちはたらく看護士さんも、いえそれよりも、こちらを向いてイスにすわっているお医者さんも、ほんとうにキツネなのです。&#13;&lt;br&gt;
　歯の痛みなどすっかりわすれて、清吉さんが口をホワンとあけていると、先生のキツネが近よってきて、その口のなかをうかがいはじめました。&#13;&lt;br&gt;
　「どれどれ。あーんこの歯がおこっているのだね。ふーむ。&#13;&lt;br&gt;
　ところで、山には猟においでのごようすですが、どうです。獲物はありましたかな。」&#13;&lt;br&gt;
　そうたずねられて、清吉さんはどう返事したらよいものかわからず、頭のなかが真っ赤になったり、黄色になったりしました。でも、なんとかおちついて、正直にいいました。&#13;&lt;br&gt;
　「いいえ。山に入ってじきに虫歯が痛みだしたものですから、とても猟どころではありませんでした。」&#13;&lt;br&gt;
　キツネの先生は何度もうなづいて、「それはよかった。」といいました。それからあわてて、「いやそれはそれは、あいにくでしたな。」といいなおし、ヒゲをなんべんか指でなでました。&#13;&lt;br&gt;
　ひとが、歯が痛くて困っているというのに、よかったとはどういうつもりなのかしらと、清吉さんはちょっぴり腹だたしく思いました。&#13;&lt;br&gt;
　「カワセミさんがすぐにおわりますから、そちらの診察イスにかけていてください。」&#13;&lt;br&gt;
　先生の指さしたイスに腰かけると、なるほど、となりのイスにはカワセミが目になみだをためて、ちょこなんとすわっているではありませんか。痛みをウンムとこらえて、ひとっところをじっと見つめていますが、清吉さんは思わず吹きだしてしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　なにしろ、くちばしをグリグリと巻いた包帯がおもくて、いまにも頭が前にこけてしまいそうなくらいにバランスの悪いかっこうなのです。&#13;&lt;br&gt;
　清吉さんが吹きだしたのをみとがめたようすで、キツネの先生は説明をしました。&#13;&lt;br&gt;
　「カワセミさんは、昨日のことですけれど、花貫川で魚めがけて水の中にとびこんだのです。ところが、その魚が石だったのですよ。魚そっくりのね。気絶して、名馬里あたりの淵にプカプカ流されてきたところを、助けられたというわけです。まあ、いってみれば名誉の負傷ってやつですな。」&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ようやく清吉さんの番になりました。&#13;&lt;br&gt;
　「これでよく今までガマンしていたねえ。さっそく抜いてしまった方がよいでしょう。」&#13;&lt;br&gt;
　キツネの先生は、ヤットコを取りだし、「ううん、ううん」といきばりながら、清吉さんの虫歯を引き抜こうとします。口のなかにヤットコをつっ込まれて、目を白黒させた清吉さんも「ううん、ううん」とうなって痛みをこらえます。&#13;&lt;br&gt;
　悪い歯を抜きおえると、キツネの先生は看護士さんに痛み止めを作るよう、いいつけました。看護士さんキツネは、ドクダミの葉を何かの木の根といっしょにすりまぜて、薬をつくりはじめました。&#13;&lt;br&gt;
　いつのまにかとなりのイスには、カワセミの姿はなく、次の患者さんが治療をまっていました。かわいらしい子リスが、お母さんのひざにだかれて、ないています。お母さんリスは子リスをあやしながら、早口で先生にうったえるのです。&#13;&lt;br&gt;
　「先生この子ったら、人間の落とした銀貨を何とかんちがいしたのか、かじってしまったんですよ。見てくださいなこの歯を。ボロボロになってしまいましたのよ。まったく、リスの前歯ほど大切なものは、この世にお天道さんのほかにないってのに、この子はほんとうに。」&#13;&lt;br&gt;
　子リスはひどく痛むらしく、「うえん、うえん」としきりにないています。&#13;&lt;br&gt;
　「まあまあお母さん、だいじょうぶですよ。どれ坊や、見せてごらん。すぐになおしてあげるからね。」&#13;&lt;br&gt;
　キツネの先生は、その子の前歯を、裏から表からといくどもつくづくながめ、それからキノコに薬をふくませて、歯の欠けたところにぬりつけました。&#13;&lt;br&gt;
　「さあ、これでもう痛くないだろう。ほらほら、もうなかないで。」&#13;&lt;br&gt;
　「お母さん、そうですねえ、月が三日に欠けたらその次の日に、もう一度きてください。そうしたら、メノウで作った歯を入れてあげましょう。」&#13;&lt;br&gt;
　リスのお母さんは、やっと泣きやんだ子リスをしっかり抱きしめながら、なんどもなんどもおじぎをして、診察室を出ていきました。&#13;&lt;br&gt;
　入れちがいにやってきた新顔は、びっこをひいたシカです。&#13;&lt;br&gt;
　「いやあ、猟犬どもに追いかけられてね。ごらんのとおり、足を二か所もかまれてしまいました。米平のあたりは、さいきん禁猟区になったはずなんですがねえ。」&#13;&lt;br&gt;
　シカがはなしだすのをしおどきに、清吉さんは腰をあげて、ていねいにお礼をいいました。歯を抜いた痛みは、先ほどの薬のせいかもうすっかり消えていましたから。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　診療所を出ても、清吉さんはだまりこくって、何ごとかを考えこみながらあるきました。まだ眠りたりないといったふうの金蔵さんが、目をゴシゴシこすりこすり、「まだ痛むのかい？」とたずねても、「うんや」とへんじするばかり。&#13;&lt;br&gt;
　「あーあ、今日はまったくついていないねえ。獲物はまったく姿を見せないし、清吉さんの歯はおこり出すし、まったく。」&#13;&lt;br&gt;
　金蔵さんは、くだくだとぼやきました。&#13;&lt;br&gt;
　「こういう日は早く家にかえって、上等のブランデーをちびちびやるのが一番だ。」&#13;&lt;br&gt;
　二人は、もときた道をてくてくとずいぶん歩きました。もうそろそろ、陽が山のかげに落ちていくようです。&#13;&lt;br&gt;
　そのときです。前を歩いていた金蔵さんが、小声で何かさけび、足をとめました。そして、肩の鉄砲をすばやくかまえると、一点にねらいをつけたのです。金蔵さんの銃は、外国製のすばらしく高価なもので、いつもじまんしているものです。&#13;&lt;br&gt;
　清吉さんは、金蔵さんがねらいをさだめた先を見ました。高い木のこずえに、動いているけものがいます。どうやらリスのようです。「ひょっとしたら」清吉さんの頭のなかに、先ほど診療所に来ていたお母さんリスと子リスの姿がうかびました。清吉さんは、胸がたかなり、熱いものでいっぱいになりました。金蔵さんが息を少しはいて、いよいよ引き金にかけた指がうごきます。&#13;&lt;br&gt;
　「いけない！」&#13;&lt;br&gt;
　さけんで、金蔵さんの鉄砲を清吉さんがたたきました。同時に鉄砲はドーンと火をはきました。たまはずっとむこうの大木の根もとにあたっただけです。&#13;&lt;br&gt;
　音におどろいたリスは、次の瞬間には深い木立のなかへと姿を消してしまいました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　しばらくの間、金蔵さんは口をあんぐりあけたままでしたが、正気にもどると「コノヤロー」とどなって、清吉さんに銃口をむけました。怒りでいっぱいになり、ぶるぶるとふるえています。今にも引き金を引きそうなけんまくです。清吉さんが、うたれると思って目を閉じたその瞬間、金蔵さんが清吉さんのほほを平手で強くたたきました。そして、そのままドシドシ道を下っていってしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　歯を抜いたばかりのほっぺたをひどく強くぶたれたものですから、清吉さんは目になみだがあふれてきて、なきたい気持ちになりました。&#13;&lt;br&gt;
　もう金蔵さんとは、友達ではなくなってしまったのです。二度と口をきいてくれないでしょう。&#13;&lt;br&gt;
　清吉さんは悲しくなりました。でも、心のどこか、すみっこの方ではこう思います。&#13;&lt;br&gt;
　『友だちも大切なものだけれども、もっとだいじな、お天道さまと同じくらいだいじなものを、ぼくはなくさないですんだんだ』&#13;&lt;br&gt;
　とっくに陽が沈んで、山の空気がすっかり紫色になりはじめた道を、清吉さんは一人くだっていきました。&lt;br&gt;
</description>
      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>民話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>街は大さわぎ</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2023/02/08/9561614</link>
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      <pubDate>Wed, 08 Feb 2023 22:25:01 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-14T23:59:03+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2023-02-08T22:44:51+09:00</dcterms:created>
      <description>　　　街は大さわぎ&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
  ゆうちゃんのママは、ベビーカーをおしてお買いもの。&#13;&lt;br&gt;
　「こんやのおかずは何にしようかな。」&#13;&lt;br&gt;
　そこでバッタリ近所のおくさん。二人はそのままたちばなし。五分、十分、十五分。おしゃべりまだまだ止まらない。&#13;&lt;br&gt;
　ゆうちゃんとってもつまらない。そこへきたのが、ノラ犬ノラボ。&#13;&lt;br&gt;
　「おい、ゆうちゃん。たいくつそうだね。」&#13;&lt;br&gt;
　「バブバブ、ママったらぼくのこと忘れてるみたい。」&#13;&lt;br&gt;
　「おいらの背中にのりなよ。散歩でもしようぜ。」&#13;&lt;br&gt;
　二人（おっと、ひとりといっぴき）は、のんびりぶらりとお散歩に。&#13;&lt;br&gt;
　しばらくたって、ゆうちゃんママ、&#13;&lt;br&gt;
　「あらたいへん。ゆうちゃんがいないわ。」&#13;&lt;br&gt;
　ベビーカーをひっくり返しても、見つからない。そこで、近所のおくさんに、&#13;&lt;br&gt;
　「おくさんがいけないのよ。」&#13;&lt;br&gt;
　「まあ、しつれいね。」&#13;&lt;br&gt;
　近所のおくさん、団地にむかってさけんだら、団地中の窓があいたり、とじたり。窓がいっせいにさけんだ。&#13;&lt;br&gt;
　「まあ、しつれいね。」&#13;&lt;br&gt;
　ママは、今度はベビーカーにやつあたり。&#13;&lt;br&gt;
　「あんたがわるいのよ。」&#13;&lt;br&gt;
　「やあ、しっけいな。」&#13;&lt;br&gt;
　ベビーカーは、公園にいってさけんだ。ベンチにブランコ、三輪車、口をそろえてさけんだ。&#13;&lt;br&gt;
　「やあ、しっけいな。」&#13;&lt;br&gt;
　次にママ、通りかかったネコ君けとばして、&#13;&lt;br&gt;
　「あんたがわるいのよ。」&#13;&lt;br&gt;
びっくりネコ君、屋根にとびあがり、&#13;&lt;br&gt;
　「なんて、ぶれいな。」&#13;&lt;br&gt;
　すると、街じゅうのネコもネズミもニワトリも&#13;&lt;br&gt;
　「なんて、ぶれいな。」&#13;&lt;br&gt;
　おしまいに、どこの家もえんとつも、並木も道も電柱も、みいんなめいめいいっせいに、&#13;&lt;br&gt;
　「あんたがわるいんだ。」&#13;&lt;br&gt;
　「いやいや、きみがいけないよ。」&#13;&lt;br&gt;
　「そうじゃないさ。おまえのせいだ。」&#13;&lt;br&gt;
　街がみんなで大さわぎ。&#13;&lt;br&gt;
　そのころゆうちゃん、ベッドの中。散歩につかれておうちにかえり、すやすやとっくに夢のなか。&#13;&lt;br&gt;
　おやすみなさい。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>民話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>創作民話 権じい桜</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2022/12/27/9550817</link>
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      <pubDate>Tue, 27 Dec 2022 16:25:52 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T00:02:54+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-12-27T16:29:54+09:00</dcterms:created>
      <description>			權じい桜&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　今日は權じいの話をしよう。權じいは、口うるさいじい様だった。まごの隆太やおきよが茶碗に飯粒を残して「ごちそうさん」と立とうものなら、もう小言のあらしだ。&#13;&lt;br&gt;
　「コメはお天道さんと、おめえたちのおとうが一年かけて一生懸命作った、命のもとだ。それをそまつにしたら、罰があたるぞ。」&#13;&lt;br&gt;
　「おとうとおっかあが、雨の日も風の日も、田んぼの泥ん中はい回って育てた米だ。手を合わせて、拝んで食べんといかんぞ。」&#13;&lt;br&gt;
　玄関の外で、茂一がハナを垂らしながら待っているのに、隆太は気が気でならない。今日は河原でカジカとりをする約束なのだ。&#13;&lt;br&gt;
　おっかあの声がした。「おきよの面倒を見るんだよ。危ないところにはいくんじゃないよ。」&#13;&lt;br&gt;
　隆太は、九つになるおきよを連れて歩くのは、お荷物になっていやだったが、仕方なしに何も言わずに、おきよの手を引いて外へ出た。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　權じいには奇妙なクセがある。コメ粒を見つけると、腰にぶら下げた袋に拾って入れるのだ。ほかの家の脱穀を手伝いに行ったときなど、散らかして打ち捨てられたコメ粒を、「これ、もらってもいいか？」と必ず声をかけて拾い集める。なかには、そんな權じいをからかうように、稲粒やコメ粒をわざとばらまいて拾わせたりするもんもいた。&#13;&lt;br&gt;
　農繁期、地主の家に行ったときなど、背戸で羽釜を洗う女房達にたのんで、釜の内側にへばりついたコメ粒をこそぎ落としてもらってくる。&#13;&lt;br&gt;
　「そら、まんま粒が流れてしまうぞ。」と、女房達がはやしたてた。残ったコメ粒をわざと流したりするのだ。權じいは、あわてて水の中から、一生懸命拾い集めた。それを見て、女房達は大笑いしたものだった。そんなにして集めたコメ粒を持ちかえっては、干してカラカラにした。&#13;&lt;br&gt;
　その干飯（ほしいい）やコメ粒、稲粒は、それぞれの壺に分けて、床下にしまっておいた。&#13;&lt;br&gt;
　そんなしみったれた權じいを、隆太は面と向かって小ばかにした。&#13;&lt;br&gt;
　「一粒ばっかりのコメが何になるんだ。ただのゴミじゃないか。ケチばっかりをしていると、ろくな死に方をしないぞ、くそじじい。」&#13;&lt;br&gt;
　「なにを馬鹿ぬかす。一粒のコメをそまつにするもんは、一粒のコメになくというもんだ。」　&#13;&lt;br&gt;
　「コメはな世根（よね）と言ってな、世の中の根っこなんじゃ。」&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ある年、梅雨が長引いた。とうにセミたちの大合唱が聞こえていてもおかしくない時期になってさえ、お天道さんがちっとも顔を出さない。寒い夏が続いた。&#13;&lt;br&gt;
　これにはだれもが参った。コメが育たないのだ。案の定、その年は収穫がまるでなかった。どこの家も、少しばかり残っていた、古いコメで食いつながなければならなかった。種もみはどうしたらよいのか、頭を抱えた。&#13;&lt;br&gt;
　そして、まずいことにその翌年もおなじだった。お天道さんはもう空にいなくなってしまったのではないかと、みんなオロオロした。&#13;&lt;br&gt;
　よその村では食べるものがなく、飢えて死ぬものが出たとのうわさが立ち始めた。&#13;&lt;br&gt;
　隆太のおとうとおっかあが、額をこすり合わせるようにして、ひそひそ話をしていた。&#13;&lt;br&gt;
　「もう食うもんがねえ。おきよを奉公に出すしかあんめえ。」&#13;&lt;br&gt;
　奉公とは、ていのよい身売りのことだった。&#13;&lt;br&gt;
　おっかあが、おきよを抱きしめてないていると、權じいが小さな声で言った。&#13;&lt;br&gt;
　「床下に、ほしいいがつまった甕が十ある。これで食いつなげばいい。」&#13;&lt;br&gt;
　「それっぽっちのほしいいなんどで、家族五人食っていけるわけがないわい。」&#13;&lt;br&gt;
　おとうがおこった声で答えた。&#13;&lt;br&gt;
　權じいは言葉を継いだ。&#13;&lt;br&gt;
　「ほかにコメの甕が十、もみの甕が十ある。節約すればなんとか春まで家族五人生きていけるだろう。もみもあるから、春には種をまいて、稲を作ることもできよう。ほんとうにわずかしかないので、腹いっぱい食べることはできまい。村のもんに分けてあげられるほどないのが、心苦しい。」&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　翌日、權じいが姿を消した。おきよが言うには、「コメがあんまりに少ないので、村で飢えて死にそうなもんがあれば、おれの分を分けてやってくれ。」と、おきよの頭をなでて、山の方へ出かけて行ったということだった。&#13;&lt;br&gt;
　隆太はないた。權じいを探しに家を飛び出そうとしたが、おとうに腕をつかまれ、引き戻された。おとうも顔がぐしゃぐしゃに濡れていた。&#13;&lt;br&gt;
　やがて春が来た。隆太の家族四人は、水のようなかゆで命をつないだ。村に死にそうなモンがでたので、大切なコメを分けてあげた。そのぶん、かゆはどんどん薄くなった。でも、村からは一人も死人を出さず、みんなで春を迎えることができた。&#13;&lt;br&gt;
　權じいが山に入っていった、その登り口に大きなヤマザクラの木があった。ヤマザクラはいつしか、權じい桜と呼ばれるようになっていた。今年こそは良い年になりますようにと、村人みんながその下で花見をするそうだ。今では、松岩寺というお寺さんの一部になっているが、今でもその權じい桜は毎年美しい花を咲かせている。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>民話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>疵（きず）</title>
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      <pubDate>Mon, 28 Nov 2022 19:56:17 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T22:02:32+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-11-28T20:00:06+09:00</dcterms:created>
      <description>今月は誰もが持っているかもしれない心のキズのお話しです。甘酸っぱい少年・少女時代を思い出すかもしれません。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　　　　　　疵（きず）&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
  和也と正男は大の仲良し。クラスも一緒で机も隣りどうし。家も近いので、学校の帰りは、きまって一緒でした。&#13;&lt;br&gt;
　あしたから、いよいよ待ちにまった夏休みという日、二人はいつものように、秋山小学校の校庭をつっきり、島名幼稚園のわきを通って、畑みちにでました。&#13;&lt;br&gt;
　「また２があったよ。母さんに通信簿を見られるのが怖いね。」&#13;&lt;br&gt;
　正男が言いました。&#13;&lt;br&gt;
　「うん。でも、今日だけガマンすれば、もうこっちのもんさ。&#13;&lt;br&gt;
　　楽しいたのしい夏休みぃ～」&#13;&lt;br&gt;
　和也が節をつけて歌うように答えました。&#13;&lt;br&gt;
　ジリジリとする陽ざしの中を、二人はハンケチで汗を拭きふき軽口をたたきあいました。&#13;&lt;br&gt;
　ふと、近くの畑に大きなスイカが、ゴロゴロと転がっているのが目に入りました。正男は立ち止まって、あたりを見まわしました。&#13;&lt;br&gt;
　「おい和也、あのスイカを一個しっけいしようぜ。」&#13;&lt;br&gt;
　「よせよ。もし、見つかったら大変だぞ」&#13;&lt;br&gt;
　「大丈夫さ。だれもいないじゃないか。それにたくさんあるんだから、一個くらいとってもわかりっこないよ。&#13;&lt;br&gt;
　そうだ。畑の真ん中辺をとれば、目立たないぞ。」&#13;&lt;br&gt;
　正男の意気込みにおされて、和也も恐るおそる畑の中に入っていきました。和也があたりを見はり、正男がスイカを選びました。しかし、なかなかつるがちぎれません。&#13;&lt;br&gt;
　「早くしろよ正男。急げ。」&#13;&lt;br&gt;
　気がきでない和也は、正男をせかして力を貸しました。やっとつるが切れ、正男がうれしそうに大きなスイカを抱き上げたその時、&#13;&lt;br&gt;
　「こらあ、どこの悪ガキどもだ！」&#13;&lt;br&gt;
　二人が驚いてふりかえると、鬼オヤジと恐れられている清さんが、仁王立ちになって、二人をにらみつけています。&#13;&lt;br&gt;
　「わあー。」&#13;&lt;br&gt;
　正男は悲鳴を上げ、スイカを放り出して逃げだしました。和也も、はじかれたように別の方角へ走り出しました。ところが、和也はスイカのつるに足をとられて、ドッとたおれてしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　「あっ、痛い。」&#13;&lt;br&gt;
　右のすねに鋭い痛みが走りました。とっさにあてた手の平を開いてみると、血で赤くそまっていました。畑にさしてあった竹ぐいにあたったのです。&#13;&lt;br&gt;
　涙がじわっとするまもなく、今度は首筋を乱暴につかまれました。清さんにつかまってしまったのでした。&#13;&lt;br&gt;
　「こらっ。おまえはどこの子だ。名前を言え。」&#13;&lt;br&gt;
　清さんはこわい形相で、和也の首根っこをおさえたまま問いただしました。&#13;&lt;br&gt;
　「和也です。樫山和也です。」&#13;&lt;br&gt;
　「もう一人、逃げて行ったやつは。」&#13;&lt;br&gt;
　「・・・・」&#13;&lt;br&gt;
　「なんてやつなんだ。言え。」&#13;&lt;br&gt;
　「・・・菊田正男君です。」&#13;&lt;br&gt;
　和也はもう、こわくてこわくて、正男の名や家の場所を、清さんに正直に話してしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　「おや、おまえけがをしたのか。ちょっとおれの家へ来い。」&#13;&lt;br&gt;
　和也は、びっこをひきながら気分は戦争ごっこの捕虜になったときよりも、もっとみじめだと思いました。&#13;&lt;br&gt;
　鬼オヤジ清さんの奥さんは、なにも聞かず傷の手当てをしてくれました。和也は、涙がボロボロこぼれました。&#13;&lt;br&gt;
　スイカ泥棒をしたのが恥ずかしかったのと、こわいからといっても、友達の名を簡単に白状してしまったことの後悔で、胸がチクチク痛かったのです。&#13;&lt;br&gt;
　（でも正男だって、ぼくを見捨てて逃げて行ったじゃないか。）&#13;&lt;br&gt;
　和也の心に、急に言い訳があれこれと浮かんできました。&#13;&lt;br&gt;
　夏休みの間、和也は気まずくて、正男に会おうとしませんでした。また正男のほうからも、何の音さたもありませんでした。&#13;&lt;br&gt;
　登校日の前の晩は、和也はよく眠れませんでした。正男にどんなふうに顔をあわせたらよいのか。宿題の心配よりも、そっちのほうが何倍も気がかりでした。&#13;&lt;br&gt;
　翌朝、正男はいませんでした。お父さんの仕事の都合で、静岡のほうへ急に引っ越してしまっていたのです。&#13;&lt;br&gt;
　「休み中のことでしたので、皆さんにはご挨拶ができませんでした。よろしくとのことです。」&#13;&lt;br&gt;
　先生は言いました。&#13;&lt;br&gt;
　あれから三十年近くたち、自分の子供が友達と元気に遊んでいる姿を眺めながら、和也はすねの疵をなでました。疵はいまでは、ほとんど目立たないのですが、そっとなでると心の奥で何かがきゅんと疼くのです。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>創作民話 へそ二つ</title>
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      <pubDate>Sat, 29 Oct 2022 17:15:10 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T22:02:59+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-10-29T17:18:23+09:00</dcterms:created>
      <description>　じいたんのお腹には、おへそが二つある。下腹の真ん中に大きくりっぱなでべそが一つ。その右横にもう一つ普通の大きさのでべそ。&#13;&lt;br&gt;
ん～、普通の大きさがどのくらいと聞かれても、答えようがないんだけど、おらのでべそとおんなじくらいの大きさだ。&#13;&lt;br&gt;
　なして、じいたんはおへそが二つあるかって？本当のことは知らねえんだけども、じいたんが話してくれた話を聞かせてあげっぺ。&#13;&lt;br&gt;
　じいたんがちっけえころ、そう田植えの時だったそうな。じいたんの父ちゃん、母ちゃんが田んぼの泥の中に入って、一生懸命早苗を植えていた。じいたんは、畦の背負いかごの中に入れられて一人遊びをしていた。そのうちに一人遊びもあきて、小さな寝息を立てはじめた。&#13;&lt;br&gt;
　母ちゃんが腰をのばして、手の泥がつかないように腕で額の汗をぬぐった時、にわかに雷が鳴りひびいた。雷んときに、水の中に入っているのは危ない。父ちゃんも母ちゃんもあわてて畦に這いあがった。&#13;&lt;br&gt;
　そんで、かごの中の赤ちゃんはどうしたかとのぞいてみたところ、あの大きな雷の音にもかかわらず、相変わらずすやすや眠っていた。ところが、着ぐるみがはだけた下に、かわいらしいお腹が見えていたんだけど、あれっ、へそが見えねえ。&#13;&lt;br&gt;
　母ちゃんはびっくらして、よくよく見てみたんだが、やっぱりへそがねえ。&#13;&lt;br&gt;
「こりゃあ、雷さんに盗まれたにちがいねえ。」&#13;&lt;br&gt;
父ちゃんは、そういうが早いかかけだした。&#13;&lt;br&gt;
「あれえっ、おまえさんどこさいくんだあ？」&#13;&lt;br&gt;
　母ちゃんの声が聞こえたのか聞こえないのか、父ちゃんはもうどんどん走り去っていった。&#13;&lt;br&gt;
　安良川の爺杉の根もとまで来ると、父ちゃんは叫んだ。&#13;&lt;br&gt;
「天狗さまあ！おらの息子のへそが、雷さまに盗られてしまった。取り返しに行きてえんだが、力を貸してくんねえか。」&#13;&lt;br&gt;
　天狗さまは、ちょうど昼寝をしていたから、「ああ、面倒来せえなあ。後でまたこいや。」と、いい加減な返事をした。すると父ちゃんは、「そんたらこというなら、爺杉に火をつけっと！」と大声で叫んだ。&#13;&lt;br&gt;
　これには天狗さまもびっくり。爺杉に火をつけられたりしたら、寝る場所がなくなるばかりでねえ。天狗さまっちゅうのは、そもそもこの爺杉から力をもらって、妙力を発揮できるからな。&#13;&lt;br&gt;
「わかった、わかった。それではお前を雷のいる雲の上に飛ばしてやるから、あとは自分でなんとかせい。」&#13;&lt;br&gt;
　天狗さまは大うちわをとりだし、父ちゃんをひとあおぎした。&#13;&lt;br&gt;
　ひゅるる～。&#13;&lt;br&gt;
　父ちゃんはクルクル回りながら、青空に飛んでいった。あっという間に爺杉が小さく見え、遠くに、赤ん坊を抱いてオロオロしている母ちゃんの姿が見える。そのうち、田んぼの横を流れる花貫川がミミズくらいの太さになってきた。そして、雲の上にすとんと落ちたのだ。&#13;&lt;br&gt;
　雲の上では雷さまが、久しぶりに立派なでべそを手に入れたので大喜びしていた。七輪で火を起こし、ほかのおへそと一緒に串にさして、さあ焼いて食べようかとしていた。そこへ、父ちゃんが突然降ってきたから、こんどは雷さまがびっくらこいた。&#13;&lt;br&gt;
「ギャヒャ、何が起こった。」&#13;&lt;br&gt;
　父ちゃんは、とっさに雷さまにしがみついて、「こらあ雷さま、おらの息子のへそを返せ。」と怒鳴った。その拍子に、父ちゃんにつかまれていた雷さまの虎の皮のパンツが、するりと脱げてしまった。&#13;&lt;br&gt;
　お尻を出したまんま逃げ回る雷さまを、父ちゃんは追いかけた。&#13;&lt;br&gt;
「わかった、わかった。いまからおめえの息子のへそを返しに行くから、許してくれ。」&#13;&lt;br&gt;
　雷さまはそういうが早いか、稲光になって地上に降っていった。&#13;&lt;br&gt;
　ピンヒャラ、ドッシーン&#13;&lt;br&gt;
　雷さまのいなくなった雲の上で、父ちゃんは茫然としていたが、我にかえるとはるか下に小さく見える爺杉に向かって叫んだ。&#13;&lt;br&gt;
「おーい、天狗さまあ。おらを地上にもどしてくれ。」&#13;&lt;br&gt;
「なんとも面倒くさいな。しかたがない。」&#13;&lt;br&gt;
　天狗さまは、大うちわをふたあおぎした。すると、父ちゃんはひゅるるる～と落ちてきて、爺杉の梢にひっかかった。&#13;&lt;br&gt;
「あひゃあー、おっかねえ。」&#13;&lt;br&gt;
　父ちゃんは、おそるおそる爺杉をおり、母ちゃんと赤ん坊がいる田圃へと急いだ。&#13;&lt;br&gt;
　天狗さまは、顔をしかめてつぶやいた。&#13;&lt;br&gt;
「やれやれ、礼の一言もなしか。どれ、お昼寝しなおすか。」&#13;&lt;br&gt;
　父ちゃんは赤ん坊の着ぐるみをめくり、ちゃんとりっぱなでべそが無事戻っているのをみて安心すると、やっとそこでヘナヘナと腰がぬけた。&#13;&lt;br&gt;
　しかし、母ちゃんが金切り声をあげた。&#13;&lt;br&gt;
「父ちゃん、見ておくれ。坊のへそが、へそが．．．。」&#13;&lt;br&gt;
「ああ、ちゃんとへそは戻っているじゃあねえか。」&#13;&lt;br&gt;
「違あよ、坊のお腹におへそがもう一つある。」&#13;&lt;br&gt;
「なんだと。」&#13;&lt;br&gt;
　見ると、もともとあった立派なでべその右横にもう一つ、小さめなでべそが遠慮がちな顔をしてひっついていた。なんと、さっき雷さまが食べようと串にさしていた、もう一つのおへそも一緒にひっつけてしまったのだ。&#13;&lt;br&gt;
　それを見て、父ちゃんは額に流れる汗をふいた。汗をふいたのは、雷さまの虎皮のパンツだった。&#13;&lt;br&gt;
　だから、じいたんのでべそ二つと、おらのうちには雷さまの虎皮パンツがある。ただ、じいたんの口ぐせは「じいたんが嘘ついたことがあるか？」だ。だからこの話も本当かどうか、あの虎皮のパンツも本物かどうかはわからない。&lt;br&gt;
</description>
      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>民話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>焼け野原裁判</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2022/09/20/9527360</link>
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      <pubDate>Tue, 20 Sep 2022 09:53:30 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T22:03:21+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-09-20T09:56:06+09:00</dcterms:created>
      <description>&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　焼け野原裁判&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　花貫川は、子供たちがカーブと呼んでいる水遊び場の少し上から、小さな支流が注ぎ込んでいます。　その流れを、荒屋までさかのぼると、そこはもう、一面のススキの原っぱです。学校が休みの日などは、子供たちの一群が、落合牧場の裏手の狭い土手を、危なっかしくつたってやってきては、二手に分かれて戦争ごっこをしたり、大きなお茶の木の株もとを押し広げて“すみか”と名づけたソファーにして、お弁当を食べたりしました。&#13;&lt;br&gt;
　でも近頃は、子供たちのそんな元気な姿は、めったに見らえなくなりました。深い草ばかりで、ところどころに思いついたように、ポツンポツンと立木があるばかりのススキ原なんかよりも、子供たちは塾が忙しいし、だいいち遊ぶのなら、テレビゲームのほうがよっぽど楽しいようです。&#13;&lt;br&gt;
　ですからこの頃では、このススキの原に分け入ってくるのは、南はしの道路沿いに、新しく建てられた鈴木さんの家で飼われている三毛猫くらいのものです。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ススキ原から地続きに、北へ大きく広がっている烏森の入り口近くの川辺に、太っちょダヌキのノノリがあおむけになって、目をつぶっています。十一月のあたまになったとはいっても、まだまだ暖かい日差しを浴びながら、ときおり、三角耳を思い出したようにピクリと動かします。&#13;&lt;br&gt;
　冬枯れの始まるころ、こうして寝転がり、川のせせらぎを聞きながら、日向ぼっこをするのが、ノノリの何よりの楽しみなのです。&#13;&lt;br&gt;
　水の音は、コロコロと心をなごませるようにささやき、風は、和尚山や花園山の森をかけぬけてきた時のことを歌います。&#13;&lt;br&gt;
　（実にいいねえ。透き通った風が、東の椿のこずえをぬける時の声などは、なんともいえずこころよいなあ。まるで、水晶山からもらった光を歌にしたようだ。ああ、あのさびしい音色は、きっと水沼の上をわたってきたんだ。）&#13;&lt;br&gt;
　遠くの一本杉のあたりから、モズのたかなきが加わります。&#13;&lt;br&gt;
　（なんてすばらしいんだろう。世界中がまるで、水色の音でみたされている。）&#13;&lt;br&gt;
　ノノリの胸の中は、熱いような、冷たいような、へんてこな気分でいっぱいになりました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　「火事だあっ。」&#13;&lt;br&gt;
　とつぜん、カケスたちがあちこちへと、てんでに飛びたちました。ノノリは、片目だけをぱちくりとあけ、あわてて飛びまわる鳥たちのほうへ、まんまる目玉をぎょろりとまわしました。&#13;&lt;br&gt;
　と、つぎに近くのやぶからリスが飛びだしてきて、まんまるいノノリの腹を、「ムギュッ」と踏みつけ、走り去りました。&#13;&lt;br&gt;
　「乱暴な奴だなあ。いったいなんだというのだ。」&#13;&lt;br&gt;
　風のコンサートにひたっていたあたまは、まだ急には働ききません。むくっとおきあがって、さわぎのほうを見ると、灰色のいやな感じのけむりが、もやもやと柱になって、お日様にいどみかかっています。&#13;&lt;br&gt;
　それを見たとたん、ノノリのあたまの中では、「はやく、はやく」という考えと、「どうしよう、どうしよう」という考えがしょうとつして、こんぐらかって、胸の太鼓がドンドコドンドコたたきだしました。それでなくても太っているため、ハアハアする息が、よけいにハアハア・・・・。&#13;&lt;br&gt;
　ようするに、ノノリはびっくりぎょうてん、わけがわからなくなっていしまったのです。&#13;&lt;br&gt;
　そこへこんどは、火事の現場へといそぐシカが、すぐ近くのやぶから走り出してきて、ノノリのおしりにおもいきり角をひっかけてしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　「ギャッ」&#13;&lt;br&gt;
　はねとばされた太っちょダヌキは、空中でくるりんとまわって、うまいぐあいにシカの背にまたがっていました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　消防ギツネのココルが、消火作業の指揮をとっています。炎が、まるで笑いこけながら、野原を食べつくそうとする化け物のように、ススキのやぶをすでに二つ焼きつくし、ますますいきおいよく燃えさかっていますが、ココルは自慢のひげをぴんとたて、ゆうかんにたちむかっていきました。&#13;&lt;br&gt;
　バケツリレーがはじまり、ノノリもいちばんまえで、いちばんきけんなやく目をかって出ました。つぎつぎとバケツがわたってきて、炎に水をかけていると、うしろからザブンと水をかけられました。おどろいてふりかえると、ヤギのおばあさんが、なにを思ったのか、またもやノノリにザブン。&#13;&lt;br&gt;
　「やいやい！おばあさんやめてくれよ、おれさまに水をかけるのは。」&#13;&lt;br&gt;
　「えっえっ、ああ、ノノリさんだったのかい。わたしゃ目がわるいもんで、そのハアハア息がてっきり火のもえる音かと思って。許しておくれ。」&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ずいぶん長いことかかって、探偵イタチのホホンが現場けんしょうをしていました。うでぐみをしてしばらく考えこんでは、フムフムうなづいたり、なにやらブツブツつぶやいきながら、同じところをいったりきたり。&#13;&lt;br&gt;
　「みなさん。」&#13;&lt;br&gt;
　やがて、ホホンは度のつよいメガネをずり上げ、威張ったようなくちょうでいいました。&#13;&lt;br&gt;
　「この火事の、ほんとうの原因は明白です。なんとなれば、わたしのこの人なみはずれた、ゆうしゅうな頭脳をもってすれば、解決できない問題などまずないのでありまして、だいたい、一九八七年に、下君田のツトムさんちの牛舎になげこまれていた、子供のクツがいったい・・・・」&#13;&lt;br&gt;
　「まあまあホホン君。その事件のお話はまたの時におねがいすることにして、まづは、今回のこの火事の原因のほうを。」&#13;&lt;br&gt;
と、消防ギツネのココルがうながしました。ホホンは、ココルをジロリとにらみつけてから、ちょっと不満そうに鼻をヒクンとさせ、かるく一つせきばらいをしました。&#13;&lt;br&gt;
　「けつろんから申しましょう。犯人は鈴木さんの家で飼われている三毛猫サンタに間違いない。サンタは、野原の中に入り込み、ヒバリのピヤクをおそいました。」&#13;&lt;br&gt;
　「さいわいにも、この無法は失敗におわり、サンタは腹だちまぎれにタバコを一本吸ったようですな。それは、難をのがれたピヤクが上空からもくげきしておる。&#13;&lt;br&gt;
　そして、三毛猫サンタは、そのすいがらをそこのヤブに投げすてた。以上のことがらから、動物大学探偵学部を首席でそつぎょうしたわたくしがろんりてきな・・・・」&#13;&lt;br&gt;
そこまできいて、フクロウのユスリじいさんがいいました。&#13;&lt;br&gt;
　「よし、ホホン君もういいわい。判決をいいわたす。&#13;&lt;br&gt;
　鈴木さんちの三毛猫サンタは有罪。また、サンタの飼い主鈴木さんも同じく有罪とする。&#13;&lt;br&gt;
　罰は、いちばん重い“仲間はずれの刑”だ。」&#13;&lt;br&gt;
　まわりの者たちは、みんな喜んで手をたたいたり、かんせいをあげました。まんまる太っちょのノノリも、もううれしくてピョンピョンはねました。&#13;&lt;br&gt;
　この名判決は、あくる日の『野原しんぶん』の一面トップに、大きくほうどうされました。&#13;&lt;br&gt;
　&#13;&lt;br&gt;
　一年の月日が流れました。あの有名な裁判のあった「焼け野原」は、もうなくなっています。新しい家がどんどんたち、烏森さえも切りひらかれてしまいました。ノノリの大好きだった川のほとりには、スーパーマーケットができています。&#13;&lt;br&gt;
　あのけものたちや、鳥たちの姿は、どこにも見ることができません。&lt;br&gt;
</description>
      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>創作民話 でべそ女房</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2022/08/26/9520850</link>
      <guid>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2022/08/26/9520850</guid>
      <pubDate>Fri, 26 Aug 2022 09:36:52 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T22:03:45+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-08-26T09:41:27+09:00</dcterms:created>
      <description>　今回はとても楽しいお話です。でもちょっぴり悲しいお話でもあるのですが、主人公の夫婦はその悲しさを笑って吹き飛ばすくらいのたくましさがあります。&#13;&lt;br&gt;
　気軽に楽しんでお読みください。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　　		でべそ女房&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
百年に一度という大飢饉だった。村には、もう食うもんがなく、あちこちで口減らしの話が持ち上がっていた。&#13;&lt;br&gt;
　村の周りの山では、草の根どころか、木の根まで掘り返された。&#13;&lt;br&gt;
　助次どんの家も、例外ではなかった。遠い里から嫁いできたばかりのハナと二人で、何することもかなわず、寝転がってすきっ腹をなでているより、仕方がなかった。&#13;&lt;br&gt;
　そんなとき、ハナが恥ずかしそうにおずおずと切り出した。&#13;&lt;br&gt;
　「助次どん、実はあ、おれには妙なクセがあってな。ヘソからコメ粒をひり出すことができるんだ。」&#13;&lt;br&gt;
　驚いた助次どんは、ガバリと身を起して、ハナの顔をまじまじと眺めた。&#13;&lt;br&gt;
　「おめえ、何言ってんだ。腹が減りすぎて、おかしくなってしまったんか。化け物じゃあんめえし、人間にそんなことができるわけねえべ。」&#13;&lt;br&gt;
　「うんにゃ、おれできる。見ててくれろ。」&#13;&lt;br&gt;
　そういうなり、ハナは着物をまくり上げ、大きなでべそをさらした。すると、それでなくとも大きいでべそは、さらにズンコズンコ大きくなった。助次どんの拳二つくらいの大きさになったかとおもうと、突然そのでべそから、コメ粒がドンコドンコこぼれだしてきた。&#13;&lt;br&gt;
　これには助次どんも驚いた。&#13;&lt;br&gt;
　「ありゃまあ、なんてこった。なして、今まで隠してた。」&#13;&lt;br&gt;
　「んだって、こんなことができっと知れたら、バケモンじゃって言われるに決まってるべえ。それに、おなごなのに恥ずかしかっぺ。だから、いえんかったんじゃ。」&#13;&lt;br&gt;
　次の日から、助次どんの家の庭先に、長い行列ができた。助次どんが、困っている村のもんたちに、ハナのヘソの話をして、コメを分けてあげることにしたからだ。&#13;&lt;br&gt;
　ハナが、でべそからコメ粒をひり出す様子を見て、村のもんだれもが、口をホワンコと開けたまんま閉じることができなかった。ハナのでべそが大きくふくれる様子を眺めては、ヤンヤの騒ぎをした。&#13;&lt;br&gt;
　「ひええ～、こりゃあおったまげた！」&#13;&lt;br&gt;
　となりのバアさまは驚いた。バアさまだけじゃない、となりのとなりのジイさまも驚いて声を上げた。&#13;&lt;br&gt;
　「ありがてえおへそさまだ。おハナ大明神だ。」&#13;&lt;br&gt;
　村のもんみんなが、いいあった。&#13;&lt;br&gt;
　「こりゃあ、助次どんの家に足を向けて寝らんねえな。」&#13;&lt;br&gt;
　ほんとうに、村のもんたちは喜んだ。これでだれもが死なずにすむし、家族が散りぢりになることもなくなった。だれもが、ハナを神さまのようにありがたがったものだ。&#13;&lt;br&gt;
　やがて、飢饉が過ぎ去ると、村には穏やかな日々が戻ってきた。そして、数年たつと、村のもんたちは忙しく働き、ハナのでべそのことなど、すっかり忘れてしまっていた。&#13;&lt;br&gt;
　ところが、ふとしたことでハナの奇妙なでべそを思い出したもんがいた。&#13;&lt;br&gt;
　「そういえば、助次どんところのおハナは、おかしなへそを持っていたっけなあ。今考えると、なんか奇妙で恐ろしい気がするんだが。」&#13;&lt;br&gt;
　その考えは、村に伝染病のようにひろがった。&#13;&lt;br&gt;
　「おハナは、バケモンじゃああんめえか。」&#13;&lt;br&gt;
　「そんなもんが村にいたんじゃ、おれたちまでバケモンだと思われやしないか。」&#13;&lt;br&gt;
　「なんでも、おハナが米粒を出すたんびに、村のだれかの家の米びつが、カラになるそうだ。」&#13;&lt;br&gt;
　だんだん怪しい方に、話がかたむいていった。そのうち、その考えは黒いかたまりになって、大きくふくらんでいった。村のだれもが、子供たちまでも助次どんとハナを白い目で見るようになった。&#13;&lt;br&gt;
　助次どんとハナは、村にいづらくなってしまった。遠くにいる親せきをたよって、出ていくことにした。見送るもんはだれ一人いなかった。&#13;&lt;br&gt;
　それからは、ハナはもう、でべそからコメ粒を出すことをしなかった。コメ粒の代わりに、元気な子供を五人もその腹からひり出し、助次どんといつまでも仲良く暮らしたということだ。&#13;&lt;br&gt;
　でべそからコメ粒をひり出す女房の話しは、いまではもうこの村に伝わっていない。&lt;br&gt;
</description>
      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>創作民話</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>夏の朝</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2022/07/26/9512404</link>
      <guid>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2022/07/26/9512404</guid>
      <pubDate>Tue, 26 Jul 2022 21:53:18 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T22:04:11+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-07-26T22:09:57+09:00</dcterms:created>
      <description>　また暑い夏が巡ってきました。何度か訪れた広島の夏は、特に暑く感じられました。&#13;&lt;br&gt;
　この作品は、市民の朗読会にもお使いいただき、さらに絵本作家のときさききよしさんの絵本原作としても使用していただきました。「矢祭もったいない図書館手づくり絵本コンクール 」であべ弘士特別奨励賞を受賞しています。&#13;&lt;br&gt;
　ロシアが核兵器の使用をほのめかし、重大な危機的局面に私たちは心を痛めています。この作品を通して、強く平和を、核兵器のない世界の実現を訴えていきたいと思います。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
    　　　　　　　　　　　　 夏の朝&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　由之助くんは三輪車に乗って、勇ましく「軍艦マーチ」を歌っていました。今朝お母さんは、呉の海軍工廠に行く大きいお兄ちゃんにお弁当を渡しながら、疎開のため岡山に行っているちい兄ちゃんのことを心配していました。&#13;&lt;br&gt;
　「手紙では、元気にしているようだけど、しっかり食べているのだろうかね。」&#13;&lt;br&gt;
　「食料不足はどこでも一緒じゃけんね。」&#13;&lt;br&gt;
　大きいお兄ちゃんは、ぼそっと言って出かけました。&#13;&lt;br&gt;
　由之助くんは、そんな二人の暗い顔を見ているのが嫌で、三輪車に乗って、通りに出たのです。大きな声で、軍艦マーチを歌います。&#13;&lt;br&gt;
　&#13;&lt;br&gt;
　恵子ちゃんは、昨日お母さんが作ってくれた、とうきびの人形さんおんぶして、ままごと遊びの相手はおらんじゃろかと、さっちゃんちに向かいました。&#13;&lt;br&gt;
　玄関から声をかけると、さっちゃんは元気よく返事をしてくれました。&#13;&lt;br&gt;
　「ちいと、待っとってね。すぐ行くけん。」&#13;&lt;br&gt;
　さっちゃんのお兄ちゃんも、やはり小学六年生で学童疎開をしていて、昨日手紙が届いたばかりでした。手紙には、由之助くんのちい兄ちゃんと同じように、疎開先での楽しい暮らしぶりがしたためられていました。&#13;&lt;br&gt;
　でも、さっちゃんのお母さんは、手紙にかすかにシミがついているのを、見逃しませんでした。シミに気づくと、文字にいつものような勢いがないのさえ気になりました。&#13;&lt;br&gt;
　さっちゃんは、洋服を着て玄関を飛び出し、恵子ちゃんに笑いかけました。&#13;&lt;br&gt;
　&#13;&lt;br&gt;
　信弘くんは、お母さんの言いつけで、江波のおばさんのところへ使いに行くところです。お父さんが、いよいよ外地に出征するというので、面会に持っていくぼた餅を作るための小豆をもらいに、おばさんのところへ行くのです。&#13;&lt;br&gt;
　江波といってもとても近くなので、信弘くんはいつも一人で行けたのです。&#13;&lt;br&gt;
　「おばちゃんに、またなにか美味しいものをもらえるかいね。朝飯が足りんかったもん。」&#13;&lt;br&gt;
　暑くなり始めた青い空を眺めながら、大きく腕を振って歩きました。&#13;&lt;br&gt;
　&#13;&lt;br&gt;
　雪子お姉さんは、今年商工会にお勤めを始めたばかりです。お仕事は、初めてのことばかりで、なかなかうまくいきません。特に、紙に文字を印刷するタイプのお仕事は、毎日先輩に叱られてばかりです。&#13;&lt;br&gt;
　でも雪子お姉さんは、恋人の広さんが戦場で頑張っていることを考えると、負けてはいられないと、自分に言い聞かせているのです。&#13;&lt;br&gt;
　路面電車で、勤め先の商工会館に向かいながら、雪子お姉さんは広さんの顔を思い浮かべ、心の中が暖かくなるのでした。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　高橋さんは在郷軍人で、自分が先頭に立って防空訓練や、竹やりの戦闘訓練をしないと、みんなを守れないと必死な思いでした。&#13;&lt;br&gt;
　今日も近くの広場で、お母さんたちを集めて、竹やりの訓練です。&#13;&lt;br&gt;
　さっちゃんのお母さんは、へっぴり腰で、あれではアメ公をやっつけられないなあ。由之助くんのお母さんは、優しすぎて気合が足りない。そんなことを考えながら、ゲートルを巻き終え、奥に向かって「ほいじゃあ、いってくるけえね。」と声をかけました。&#13;&lt;br&gt;
　奥から「行ってらっしゃい。」と返ってきました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
  八月六日、雲一つなく良く晴れた、いつもと変りない朝です&#13;&lt;br&gt;
  八時十五分。&#13;&lt;br&gt;
　由之助くんも由之助くんのお母さんも大きいお兄ちゃんも、恵子ちゃんも恵子ちゃんのお母さんも、さっちゃんもさっちゃんのお母さんも、信弘くんも信弘くんのお母さんもおばさんも、雪子お姉さんも、高橋さんも高橋さんの奥さんも、まぶしい光に包まれました。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>グフムフ王国物語 ３ グフムフ三世月へ行く</title>
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      <pubDate>Wed, 29 Jun 2022 16:26:22 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T22:04:38+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-06-29T17:01:14+09:00</dcterms:created>
      <description>　グフムフ王国物語は、三作目になります。今回はグフムフ三世が月旅行をします。どうやって月に行くのか、それはこれから読んでみてください。&#13;&lt;br&gt;
　写真は、江戸時代の儒学者、地理学者、天文学者だった長久保赤水が描いた月と太陽の絵です。アタナシウス・キルヒャーが著わした『地下世界』という本の図像を模写したものと思われます。同じような図は、司馬江漢などが後に銅版画で描いていますが、赤水のものはそれに先んじるもので非常に貴重なものです。&#13;&lt;br&gt;
　国の重要文化財に指定され、高萩歴史民俗資料館に収蔵されています。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
グフムフ王国物語　３&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　　　グフムフ三世月へ行く&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　グフムフ三世は、玉座で気持ちよさそうにお昼寝をしていました。七色に光る鼻ちょうちんが、ピュヒューとふくらんだり、ムヒューとしぼんだりしています。&#13;&lt;br&gt;
　王様は突然目が覚め、ガバリと起きると、「ソンタ君はいるか。」と、声をはりあげました。&#13;&lt;br&gt;
　一等書記官ソンタは、王様のおやつにと用意していたたこ焼きを、ちょうどつまみ食いしていた最中でしたが、あわてて王様の前にとんで出て、「アフアフ、ニャ。」と、わけのわからない返事をしました。&#13;&lt;br&gt;
　「なんだ、ソンタ君。またつまみ食いか。」&#13;&lt;br&gt;
　王様は、ソンタの口元にだらしなく垂れている、ひょっとこソースをじろりと眺めながら、非難がましく睨みました。&#13;&lt;br&gt;
　（いつもソンタ君は、わしのおやつを半分以上食べてしまうのだから・・・）&#13;&lt;br&gt;
　王様は、いつもおやつが少ないのがとても不満でした。おやつを運んでくるソンタは、いつもきまって口をもごもごさせ、&#13;&lt;br&gt;
　「王様、おやつですよ。味見しておきましたが、とてもおいしいですよ。」&#13;&lt;br&gt;
と、ゲップをするのです。それが王様には気に入りません。おやつが足りない！&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　そうそう、そういえば、グフムフ三世がどのような容姿なのか、これまで一度もお話ししていませんでしたね。&#13;&lt;br&gt;
　グフムフ三世は、背が小さく、頭が異様に大きく（ちょうどスマホのオンラインゲームに出てくるような二頭身にちかいかも）、細長いはなひげを上に向けて長くカールさせ（ちょうどダンゴ鼻の両側にひげの輪があるようです）、とってもずんぐりむっくりです。&#13;&lt;br&gt;
　おまけに、金髪のかつらをかぶり、さらに色とりどりのガラス玉で、ごちゃごちゃと飾り立てた冠をかぶっています。目玉は大きく、いまにも落ちてしまいそう。大きく横に広がった分厚い唇をしています。&#13;&lt;br&gt;
　さあ、君たちには想像できたかな。そうです。これこそが、われらがグフムフ三世、その人です。とにかく、そんな感じのグフムフ三世を想像しておいてください。&#13;&lt;br&gt;
　まあ、グフムフ三世の紹介はこれくらいにしておきましょう。&#13;&lt;br&gt;
　グフムフ三世は、ソンタの持っていたたこ焼きを、一度に六個も手づかみにして口にほおばりました。口いっぱいになり、あごが動きません。たこ焼きの破片を口からとばしながら、ソンタに向かって叫びました。&#13;&lt;br&gt;
　「あわわわ、あわわわ。」&#13;&lt;br&gt;
　ソンタはそれを聞くと部屋を飛び出していきました。ソンタが向かったのは、王立天文台です。&#13;&lt;br&gt;
　ソンタは、王様がお昼寝する前に『子供にもわかる宇宙のはなし』という本を読んでいたのを知っています。きっと王様は、宇宙の夢を見たに違いないと考えたのです。&#13;&lt;br&gt;
　「多分、お月さまにでも行った夢を見たに違いないんだ。」&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　王立天文台には、偉大な天文学者ケプロル博士がいました。ケプロル博士は、はるか北にある夜の国の偉大な天文学者コチコチ・ブラブラーエに教えを受けた大天才です。&#13;&lt;br&gt;
　普段は、弟子たちを使って、お星さまなど天体の動きを調べていました。それから年に一度、グフムフ暦を作るという大切な仕事がありました。&#13;&lt;br&gt;
　この暦は、グフムフ三世の誕生日をグフムフ元年一月一日としたカレンダーです。当然のことですが、王国のだれもこんなでたらめな暦を使ってはいませんでした。&#13;&lt;br&gt;
　それはともかく、ソンタはケプロル博士に大きな声で呼びかけました。&#13;&lt;br&gt;
　「ねえ、ケプロル博士。どうも王様がお月さまにでも行きたいらしいのですが。何とかなりませんかあ？」&#13;&lt;br&gt;
　「なにい、王様が月に行きたいじゃと？」&#13;&lt;br&gt;
　ケプロル博士は、あっけにとられて口をあんぐり開けました。&#13;&lt;br&gt;
　ややあって、博士は言いました。&#13;&lt;br&gt;
　「まあ、手立てがないわけでもない。」&#13;&lt;br&gt;
　「えっ、行けるんですか？」&#13;&lt;br&gt;
　「ああ、これはとても難しい魔法を使うことになるのだが、まあできないことはない。」&#13;&lt;br&gt;
　大きな声では言えませんが、ケプロル博士のお母さんヘクラは魔女でした。博士の説明はこうです。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　お月さまへ行くには、魔法の通り道を利用する。地球からおよそ八万キロメートルのかなたに、レバニラという島が浮いている。ヘクラが二十一文字の秘密の呪文で精霊を呼び出し、その精霊の力でレバニラ島まで魔法の通り道を開く。&#13;&lt;br&gt;
　さらにそこからは、ケプロルの第三法則を使えばおよそ二時間でお月さまにつくはずだ。&#13;&lt;br&gt;
　ソンタには、博士が何を言っているのかさっぱりでした。&#13;&lt;br&gt;
  「ちょうど今夜は、幸いなことに、精霊の力で魔法の通り道をかけることができる条件が整っておる。&#13;&lt;br&gt;
　さあ、月の東側が月食になる前に出かけようではないか。このようなチャンスは、数十年に一度のことなのだぞ。」&#13;&lt;br&gt;
　ソンタは、喜んで王様のもとに飛んでいきました。&#13;&lt;br&gt;
　「王様、朗報です。お月さまに行けます。大至急支度をしてください。」&#13;&lt;br&gt;
　王様はあっけにとられて、やはりお口をあんぐり。ソンタが何を言っているのか、飲み込めませんでした。そもそも、王様が見ていた夢は、おやつのバナナをソンタと取り合いしている悪夢だったのですから。&#13;&lt;br&gt;
　ま、それはいいとして、お月さまへ行けるなんてチャンスはそうそうあるものではありません。&#13;&lt;br&gt;
　「本当なのか、ソンタ君。それでは二人で一緒に行くことにしよう。」&#13;&lt;br&gt;
　「ええーっ、私も一緒ですかあ。」&#13;&lt;br&gt;
　「当り前じゃないか。さあ、さっそく行くぞよ。」&#13;&lt;br&gt;
　ということで、二人は王立天文台から、お月さまへ旅立つことになったのです。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　最初に、魔女ヘクラの呪文が始まりました。例の二十一文字の呪文です。この呪文は、本当に秘密のものなので、皆さんにお聞かせできないのが残念です。（でも君にだけ内緒で、教えてあげましょうね。「Astronomia Copernicana」これは、ラテン語という外国の言葉です。恐ろしい呪文ですから、くれぐれも、ほかの人に教えてはいけませんよ。）&#13;&lt;br&gt;
　ヘクラの呪文と同時に、グフムフ三世と一等書記官ソンタの姿は、王立天文台から煙のように消えてしまいました。嫌がるソンタの「嫌だあー、行きたくなあーい。」という声だけを残して。&#13;&lt;br&gt;
　レバニラ島についた二人は、その異様さにびっくり。ここには、魔女がひしめくように大勢いるのです。気が付くと、グフムフ三世の隣に、ヘクラがいました。&#13;&lt;br&gt;
　「王様、少しレバニラ島を見物していくかえ。」&#13;&lt;br&gt;
　「そうだな、こんな宇宙の真ん中に浮いている魔女の島なんて、そうめったにみられるものでない。」&#13;&lt;br&gt;
　そんな二人の会話に、ソンタは気が気ではありませんでした。こんな気味の悪い島に一時もいたくありません。妙な魔法の薬を煮詰めているにおいが立ち込め、あちらこちらで不気味な生き物の鳴き声がしているではないですか。&#13;&lt;br&gt;
  「王様、こんな怪しいところは、早めにおいとましましょうよ。」&#13;&lt;br&gt;
　ソンタが泣きべそ顔で言う間にも、もう王様はヘクラと仲良く歩き出していました。&#13;&lt;br&gt;
　レバニラ島では、魔女たちがさまざまな魔法の道具や、材料をこしらえたり、取引したりしていました。また、広場では新しく覚えたばかりの魔法を、呪文を唱えて練習している光景も見られました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　さて、お話を進めないとならないので、先を急ぎます。グフムフ三世とソンタの二人は、魔女ヘクラの助けで、いよいよ月までやってきました。なんでも、ケプロル第三の法則を応用したらしいのですが、詳しいことはわからないので、ここでは説明しません。&#13;&lt;br&gt;
　月につくと、ヘクラは王様を月一番のホテル、グランド・ムーンムンに案内しました。二階建ての丸いガラスでできた素敵なホテルです。&#13;&lt;br&gt;
　あ、そうそう。言い忘れていましたが、ここは地球から見ると、月の裏側です。魔女は月食の闇の部分を通って、月の裏側に来れるのでした。魔法は、闇で効力を発揮しますからね。&#13;&lt;br&gt;
　グフムフ三世は、あることに気づきました。体が異様に軽いのです。グランド・ムーンムンの中にあるスポーツジムで試してみると、高跳びをすると、なんと二メートルちかくも跳び跳ねることができたのです。軽々と、ソンタを跳び越えることができるではないですか。&#13;&lt;br&gt;
　重量挙げをすると、百キログラムも平気です。&#13;&lt;br&gt;
　「これはなんということだ。きっと、ヘクラの魔法のせいかもしれない。わしは力持ちになったのだ。」&#13;&lt;br&gt;
  グフムフ三世は、うれしくなってしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　「これなら、フムフム共和国のナンジャモン大統領にも、ムフムフ王国のヘンペイラ大王にも勝てるぞ。決めた！地球に帰ったら、スポーツ戦争をするとしよう。」&#13;&lt;br&gt;
　それを、脇でソンタがうんざりした表情で聞いていました。しかたなく、ヘクラにお願いしました。&#13;&lt;br&gt;
　「ヘクラさん、王宮と連絡したいのだけど。」&#13;&lt;br&gt;
　「それなら、この水晶玉を使うがよい。」&#13;&lt;br&gt;
　ソンタは、魔法の水晶玉を借りて、一番大臣と一番役所へ連絡しました。&#13;&lt;br&gt;
　「これから、王様が帰還します。午後には、スポーツ戦争をしますので、準備をお願いします。」&#13;&lt;br&gt;
　一番大臣と一番役所は、さあ大変。大急ぎで準備を開始しました。まずは、フムフム共和国とムフムフ王国へスポーツ戦争の宣戦布告です。なんとなんと、これは珍しくあっという間にお仕事完了したのでした。グフムフ王国のお役所としては、奇跡です。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　さて、ケプロル博士の計算では、月食は４時間２０分２４秒で終わってしまいますので、それまでに帰らなければなりません。ケプロル第三法則と、魔女ヘクラの力を借り、意気揚々と地球に帰ったグフムフ三世は、さっそくスポーツ戦争に参加しました。&#13;&lt;br&gt;
　スポーツ戦争では、一番負けた人が、ひげをそられるということにしてありました。&#13;&lt;br&gt;
　ムフムフ王国のヘンペイラ大王は、鼻下から顎にかけて立派な髭が生えていますが、フムフム共和国のナンジャモン大統領は、ついこの間、自転車戦争で負けたために、グフムフ三世にそられたばかりで、やっと生えそろってきたばかりです。&#13;&lt;br&gt;
　まあ、それでもこの二人は普段から力自慢で通っていましたので、よもや、グフムフ三世に負けると思っていません。ひげをそられるのは、もうグフムフ三世で決まったようなものです。&#13;&lt;br&gt;
　ところが、グフムフ王立体育館に入った二人は、ギョッと一瞬にして青ざめました。受付の後ろに、六メートルも舞い跳ぶグフムフ三世の颯爽たる写真が貼ってあったのです。さらに、重たそうなバーベルを持ち上げている写真がその横に。（もちろん、月で撮ったことを二人は知りません）&#13;&lt;br&gt;
　それを見た二人は、何とか理由をつけて帰ろうとしました。ところが、そこにグフムフ三世が現れ、「やあ、お二人ともようこそ。わざわざ負けに来てくれたのですな。ワハハハ。」というものですから、引くに引けなくなってしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　競技は二つ。グフムフ三世お得意の、高跳びと重量挙げです。&#13;&lt;br&gt;
　最初は、高跳びです。&#13;&lt;br&gt;
　「ええーい！」&#13;&lt;br&gt;
　ヘンペイラ大王は、気合とともに飛び上がりました。素晴らしい跳躍です。九十一センチメートルです。&#13;&lt;br&gt;
　続いてナンジャモン大統領が飛びました。九十一センチと二ミリメートルです。&#13;&lt;br&gt;
　「なんじゃ、まるで子供のお遊びだな。これなら楽勝だ。何しろわしは二メートルも跳べるのだから。えいやあーっ。」&#13;&lt;br&gt;
　記録は三十一センチメートルです。&#13;&lt;br&gt;
　「そんな馬鹿なっ。」&#13;&lt;br&gt;
　重量挙げでは、最初にナンジャモン大統領が挑戦しました。&#13;&lt;br&gt;
　「ほいやーっ。」&#13;&lt;br&gt;
　八十キログラムを挙げました。&#13;&lt;br&gt;
　ヘンペイラ大王は八十四キログラムを挙げました。&#13;&lt;br&gt;
　満を持して、我らがグフムフ三世の登場です。ソンタが盛大に拍手します。&#13;&lt;br&gt;
　「ええいやー。」&#13;&lt;br&gt;
　ちっとも挙げられません。おもりをどんどん少なくして、たった十キログラムを挙げて終わりました。&#13;&lt;br&gt;
　皆さんはなぜかわかっていますよね。月の重力は、地球の六分の一しかないのです。ですから、月では物の重さが六分の一の軽さになります。決して、グフムフ三世が力持ちになったわけではなかったのですね。魔女ヘクラは何もしていません。&#13;&lt;br&gt;
　そのうえ、地球の外でしばらく遊びほうけていたので、骨が弱くなり、筋肉も衰えていたのです。&#13;&lt;br&gt;
　したがって、ムフムフ王国ヘンペイラ大王と、フムフム共和国ナンジャモン大統領は、たっぷり時間をかけ、嬉しそうにグフムフ三世のひげをそり落としました。&#13;&lt;br&gt;
　グフムフ三世は、わけがわからず泣きべそをかきました。君が、グフムフ三世にあうことがあったら、わけを教えてあげてくださいね。&lt;br&gt;
</description>
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      <dc:subject>童話</dc:subject>
      <dc:subject>朗読</dc:subject>
      <dc:subject>読み聞かせ</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>創作民話 大蛇と大ムカデ</title>
      <link>http://sosakuminwa.asablo.jp/blog/2022/05/21/9492621</link>
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      <pubDate>Sat, 21 May 2022 14:34:32 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2024-04-15T22:05:05+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2022-05-21T14:58:14+09:00</dcterms:created>
      <description>　お楽しみいただけているでしょうか。これで10作品目になります。これからは、アップデートの期間を長めにとることにします。月に一度くらいのペースで考えています。&#13;&lt;br&gt;
　時崎幹男さんが風の文庫５『高萩今と昔の話　カッパ』という小冊子に、私の「河童の仲裁」と「河童」という二つの作品を掲載してくださいました。&#13;&lt;br&gt;
　時崎さんのエッセイと、高萩に伝わる河童伝説の再話なども載せられています。&#13;&lt;br&gt;
　高萩市立図書館でも読むことができると思いますが、ご希望の方は　0293-23-4117（時崎幹男さん）までご連絡してください。&#13;&lt;br&gt;
　&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　　　　　　大蛇と大ムカデ&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
 　秋山にある承殿神社（しょうどのじんじゃ）の鳥居の前には、りっぱな稲田がひろがっている。この辺りは高砂田（たかすなだ）とよばれていて、すぐわきを流れる花貫川よりも土地が高いため、むかしは田んぼを作ることができなかった。&#13;&lt;br&gt;
　いまから三百年ほど前のことだ。当時このあたりは、一帯が桑畑だった。風通しがよく、気持ちのいい桑畑で育てたくわっ葉を、モッシャモッシャ音を立てて食べたお蚕（かいこ）さんは、ほかの土地ではできない、質のいいマユを作ってくれた。まあ、米も作ることは作っていたが、桑畑のすみっこあたりで作る陸稲（おかぼ）というやつだから、粘りけがなく味もおちた。だから田んぼを作ることが、部落のみんなの願いだった。&#13;&lt;br&gt;
　部落の北側には、多々良場川（たたらばがわ）が流れている。この川は西側の山から急斜をかけくだってくるので、ほんのちょっとの上流でも、高砂田の土地より高いところを流れていた。なので、多々良場川からなら水を引けそうなものなんだが、承殿神社の丘が多々良場川との間に壁になって邪魔をしていて、水路を作ることができない。&#13;&lt;br&gt;
　部落の人たちは、寄り合いがあるたびに「この丘がもう少しでもずれていてくれたならなあ。」とため息をつくのだった。&#13;&lt;br&gt;
　多々良場川には、上流のほうに一匹の大蛇が棲（す）んでいた。少し北東にいった赤浜では良質の砂鉄が採れ、大昔から上流の山まで荷駄（にだ）で運びあげては、たたらで鉄を吹きたてていたものだ。この辺りの山では、たたらを立てるのに必要な炭をいくらでも焼いていたからな。大蛇はそんな製鉄をするものらの守り神だった。いまではなくなってしまったが、たしか田代の部落には、蛇神様を祀（まつ）った社（やしろ）があったはずだ。上田代に実家のある力雄君が、「ひい爺さんの頃まで蛇神様にお参りしていた」といっていたのを聞いたことがあるから間違いはなかろう。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ところで、南の神峰山（かみねやま）には一匹のムカデが棲（す）んでいた。胴が五尺（約１．５メートル）もあろうという、巨大なムカデだ。大ムカデはふだんは、神峰山の地下に埋まっている金や銅を腹の下に抱きかかえ、もっともっと多くの宝物に囲まれている夢を見ながら、眠っていることが多かった。&#13;&lt;br&gt;
　こいつは、たまに村に出てきては悪さを繰り返した。ふもとを流れる宮田川は、こいつがたれ流す毒で汚（よご）され、魚のすまない死の川になっていた。川の水を飲んでいたたくさんの人も殺された。&#13;&lt;br&gt;
　山は山で、こいつの吐く毒の息で樹木が枯れ、かろうじて立っている木は葉が黒くべたべたになって、鳥や獣や虫さえも寄りつかなかった。&#13;&lt;br&gt;
　ある日大ムカデは、珍しく訪れたからすどもがうわさ話をしているのを聞いた。なんでも、北の砂浜で砂鉄がとれ、それを山の民らが美しい鋼（はがね）にかえられているらしい。数日たって訪れたのは、だみ声のエナガだった。やはりエナガたちも同じうわさ話に興（きょう）じていた。夜になって飛びまわっていたアブラコウモリもその話だ。これは間違いない。&#13;&lt;br&gt;
　神峰の山は、金と銅が地ぞこに眠っている。それは大ムカデのたからものだ。しかし、ここには鉄がない。鉄があれば、玉鋼（たまはがね）で美しい剣（つるぎ）を造る事もできるし、頑丈な鎧（よろい）でいっそう身を護ることもできる。そう思い立つと、居ても立ってもいられない。大ムカデは、大嵐を巻き起こし、真黒な雲に乗って多々良場川に向かった。&#13;&lt;br&gt;
　不意を突かれた大蛇は、尾の方に鋭い痛みをおぼえた。大ムカデの顎肢（がくし）で、うろこを貫かれたのだ。この顎歯は、牙のように変化し鋭くとがった前脚で、神経毒を相手に注入することができる。刺された相手は、激しい痛みに襲われ、しだいに全身がしびれてくるのだ。&#13;&lt;br&gt;
　大蛇は、正面から戦うのは不利とみて、桃源（どうげん）から井の沢へと多々良場川をくだり、逃げ出した。大ムカデは猛然と後を追った。多々良場川が花貫川へと合流する菖蒲（しょうぶ）の淵までくると、大蛇はきびすを返した。とぐろを巻き、高くかま首をもたげて、大ムカデを迎え撃った。&#13;&lt;br&gt;
　大蛇と大ムカデの戦いは、七日七晩続いた。空は黒雲に覆われ、突風が吹き荒れ、雷鳴がとどろき渡った。川はしの突く雨で、氾濫（はんらん）した。&#13;&lt;br&gt;
　二匹の化け物は何度も何度もぶつかり合った。圧倒的に大蛇が不利だった。なぜなら大ムカデは、まるでヨロイのようにかたい背板と腹板とにおおわれており、大蛇の牙をもってしても、なかなか痛手を与えることができなかったからだ。それでも大蛇は死力を尽くして、戦い続けた。大蛇は大ムカデに巻きつき、締め上げ、体節のすき間を狙って牙を打ち込んだ。&#13;&lt;br&gt;
　しだいに、大蛇の体はボロボロになっていった。うろこははげ、赤い血が雨に洗われ、傷ついた肉が白くむき出しになった。二匹の怪物は、なんども離れてにらみあっては、またなんどとなくぶつかり合った。&#13;&lt;br&gt;
　暴れのたうちまわる怪物たちの争いに、家を壊され畑を荒らされ、命からがら承殿神社へ避難した高砂田の部落の人たちは、みなでいっしんにお祈りした。この争いをとめてくれ。凶暴なムカデを、追い払ってくれ。タタラ場の人たちの守り神を救ってやってくれ、と。みなで必死に祈った。&#13;&lt;br&gt;
　するとそのとき、荒れに荒らされた畑のあちこちから、無数のお蚕さんがモゾラモゾラと沸（わ）いて出た。二匹の化け物が戦っている下の地面が、お蚕さんで真っ白におおいつくされた。お蚕さんたちは、そろって天に向かって頭をもたげると、ゆっくりと首を回しながらいっせいに白い糸を吐き出した。白い糸は縦に横に交わり、絹の衣となって天に広がり、音もなくふわふわと舞い下りると、大ムカデの巨体をすっぽり包み込んだ。大ムカデは驚き、絹の衣を破り切ろうとした。が、大蛇をも苦しめるほどの顎歯でさえ、糸一本傷つけることができなかった。&#13;&lt;br&gt;
　息苦しくなり、大ムカデはめくらめっぽうにのたうち、暴れ出した。花貫川は、めちゃめちゃに荒らされ、あちらこちらがまた新たに決壊した。それまで、川筋は菖蒲から唐崎（からっつぁき）へ抜けていたのだが、神谷、佃（つくだ）の部落の方に流れるように変わってしまったほどだ。&#13;&lt;br&gt;
　大ムカデは死力を振り絞り、南の神峰山がある方角へと、とつぜん走り出した。四対（よんつい）もある眼は絹の衣に包まれているため、なにも見えない。めくらめっぽうあてずっぽうに走った。当たるものはみな砕け散った。大ムカデは方向感覚をなくしてしまい、同じところをぐるぐる回り続けてた。そして、力つき息絶えた。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　大ムカデの死骸（しがい）は、何年もかかって腐り朽ち果てていった。体の脂（あぶら）が地面にしみこみ、イオウの匂いを漂わせた。そこは、油沢という土地になった。油沢はいまでも、あたりがイオウ臭いはずだ。地面を少し掘ると、油がしみ出てくるだろう。だが、むやみに掘ると、土地の人に叱られるがな。&#13;&lt;br&gt;
　ところで、大ムカデがなんどもぶつかり、大きな穴をうがったのは、承殿神社の丘のふもとだった。いまでも、花貫川の川岸のうえに、人間が楽にくぐり抜けることができる穴が二つある。これが、大ムカデがぶちぬいた穴のあとだ。&#13;&lt;br&gt;
　高砂田の部落の人たちは、この二つの穴を利用して、多々良場川から水を引いた。麦屋橋（むぎやばし）のたもとから、みんなで力を合わせて用水路を掘り、ムカデ穴を通して水を引き、ようやく念願の田んぼを作ることができたのだ。&#13;&lt;br&gt;
　いまは、高砂田ではもう桑畑を見ることができない。秋になると、金色の稲穂が重そうに実る、地元の人たちは相変わらず承殿神社を大切にしている。なにせ、ここに祀られているのはお蚕さまの神さまだからな。&#13;&lt;br&gt;
　しかし、この話は高砂田にはもう伝わってはいない。これは中学生の時に同級生だった力雄君が、ひい爺（じい）さんから聞いた話だといって聞かせてくれた話だ。&lt;br&gt;
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      <dc:subject>朗読</dc:subject>
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      <title>創作民話 汐見滝の竜</title>
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      <pubDate>Fri, 06 May 2022 16:58:25 +0900</pubDate>
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      <description>　高萩の観光名所、花貫渓谷に一匹の若い竜が棲んでいました。今回はその竜のちょっぴり悲しいお話しです。&#13;&lt;br&gt;
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         汐見滝の竜&#13;&lt;br&gt;
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　皆さんは、花貫渓谷にかかるつり橋をご存知でしょう。橋の下には、汐見滝という小さな滝があります。ずいぶん昔のことですが、この滝の淵には一匹の竜が棲んでいました。ずっと下流にある「なめりヶ淵」に棲む竜の子供だろうといわれています。&#13;&lt;br&gt;
　竜の子は、時折馬に姿を変えては人里におりてきて、人間の子供たちと遊んだりしました。&#13;&lt;br&gt;
　ある日、いつものように馬の姿で里へ下りると、一人も子供たちの姿が見当たりません。仕方なしに、その辺をしばらくぶらぶらしていたのですが、それにも飽きてきました。そこで、一番近い子の家の様子をのぞいてみました。すると、親子四人がまるで団子のように抱き合って、泣いているのです。とぎれとぎれにかわす言葉から、どうやらいつも一緒に遊んでいた、まだ年端もいかない女の子が、町に身売りされていくようなのです。&#13;&lt;br&gt;
　この地方ではしばらく日照りが続き、作物が少しもとれません。このままでは、食べるものが底をついて、死ぬ人さえ出かねないのでした。そこで、口減らしのために子供が町に売られていくことになるのです。&#13;&lt;br&gt;
　竜の子は気の毒に思い、何とか力になってあげたいと考えました。急いで山道を駆け上がり滝につくと、たちまち竜の姿に戻って、そのまま花貫川をずんずん滑るようにのぼっていきました。川の源流あたりまで来ますと、するすると雲に乗って天に昇っていきました。&#13;&lt;br&gt;
　天宮について、天帝に会いたいと申しましたところ、&#13;&lt;br&gt;
  「今はだめだ。天帝さまは今眠りについたばかりで、あと五年はお目覚めにならないだろう。」&#13;&lt;br&gt;
と、門番に追い返されました。&#13;&lt;br&gt;
　でも、竜の子はそれで引き下がるわけにはいきません。あきらめるふりをして、上空からすうっと、宮殿に忍び込みました。そして、天帝が大切にしている水晶の玉を盗み出したのです。&#13;&lt;br&gt;
　水晶の玉を口にくわえて、大空をゆっくりと右回りに七回飛び回りました。すると、地上では突然、大変な大風が吹き暴れ始めました。家々は倒され、木々はねこそげ吹き飛ばされていきます。&#13;&lt;br&gt;
　「あれれ、とんだ失敗だ！」&#13;&lt;br&gt;
　風は七日七番暴れまわってから、やっと静まりました。&#13;&lt;br&gt;
　今度は左回りに七回、ゆっくり回りました。すると、地上では天の底を抜いたような大雨が激しく振り出しました。花貫川は狂ったようにのたうち回って氾濫し、たくさんの家や田畑を押し流してしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　「あれれ、ちょっとやりすぎてしまった。雨を止めることができないや。どうしよう・・・・。」&#13;&lt;br&gt;
　地上では、村の人たちが逃げまどい、親子で抱き合って泣きさけんだりする人の姿が見えました。&#13;&lt;br&gt;
　とんでもない災厄を引き起こし、それを止めるすべを知らない。竜の子は真っ蒼になって、体がすくんでしましました。&#13;&lt;br&gt;
　その時、下の世界の異変を察知した天帝が、目を覚ましました。&#13;&lt;br&gt;
　「いったい何事だ。」&#13;&lt;br&gt;
　枕もとの水晶玉がなくなっているのを見て、天帝は今起こっていることのすべてを理解しました。急いで天宮から飛び出すと、竜の子のもとへ駆けつけました。水晶の玉を取り上げると、呪文を一つ唱え、右へ一回り、それから左へ一回り。それを七回繰り返しました。&#13;&lt;br&gt;
　すると、それまでごうごうと降り注いでいた雨がうそのようにやみ、黒く荒れ狂っていた空が、雲がきれい吹き払われて、風もぴたりと止まりました。&#13;&lt;br&gt;
　この大干ばつのさなかに突然襲ってきた災厄のせいで、家を流され、わずかばかりでも収穫できそうだった作物も吹き飛ばされ、里の人たちはすっかり希望を失っていしまいました。&#13;&lt;br&gt;
　でも、里の人たちは逃げ出すわけにはいきません。わずかばかりの土地ですが、親から受け継いだ大切な田畑です。明日からまた、この土地にしがみつくようにして、残ったわずかな食べ物をみんなで分け、力を合わせて立て直さなければなりません。これまでも、時折気まぐれに見舞う災厄のたびにそうしてきたのです。&#13;&lt;br&gt;
　結局竜の子は、あの女の子の身売りを止めることはできませんでした。&#13;&lt;br&gt;
　「竜の子の優しい心根がわからんでもない。しかし、罰を与えねばならん。」&#13;&lt;br&gt;
　天帝は悲しそうにつぶやきました。&#13;&lt;br&gt;
　それ以来竜の子は、馬の姿のままで二度と竜に戻ることがかなわなくなってしまいました。竜の子は、自分が犯してしまったことの恐ろしさに、毎日涙を流し、体が青く透き通るまでになってしまいました。もう、里へ下りることはありませんでした。&#13;&lt;br&gt;
　それからも、厳しい日照りの年に限って、カラカラの田畑を突然狂ったように激しい雨風がおそい、花貫川は氾濫を繰り返しました。あの水晶玉の魔力がまだ消えていなかったのでしょうか。&#13;&lt;br&gt;
　でもいまでは、大きなダムができ、川下にはいくつも工場が建ちました。ダムができてからは、花貫川は水かさが少なくなってしまい、死んだように元気をなくしています。ですから、滅多に氾濫することもなくなりました。&#13;&lt;br&gt;
&#13;&lt;br&gt;
　ダムからはずっとずっと上流の鳥曽根という辺りの深山に入り込んでしまった時、突然どっと風が吹き渡り、山々の緑が大きく揺れることがあります。木々の梢を吹き抜けるその風に乗って、山から山へと駆け抜けていく青く透き通る馬を、時々みかけるといううわさがあります。&lt;br&gt;
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