街は大さわぎ2023年02月08日 22:25

   街は大さわぎ

ゆうちゃんのママは、ベビーカーをおしてお買いもの。
 「こんやのおかずは何にしようかな。」
 そこでバッタリ近所のおくさん。二人はそのままたちばなし。五分、十分、十五分。おしゃべりまだまだ止まらない。
 ゆうちゃんとってもつまらない。そこへきたのが、ノラ犬ノラボ。
 「おい、ゆうちゃん。たいくつそうだね。」
 「バブバブ、ママったらぼくのこと忘れてるみたい。」
 「おいらの背中にのりなよ。散歩でもしようぜ。」
 二人(おっと、ひとりといっぴき)は、のんびりぶらりとお散歩に。
 しばらくたって、ゆうちゃんママ、
 「あらたいへん。ゆうちゃんがいないわ。」
 ベビーカーをひっくり返しても、見つからない。そこで、近所のおくさんに、
 「おくさんがいけないのよ。」
 「まあ、しつれいね。」
 近所のおくさん、団地にむかってさけんだら、団地中の窓があいたり、とじたり。窓がいっせいにさけんだ。
 「まあ、しつれいね。」
 ママは、今度はベビーカーにやつあたり。
 「あんたがわるいのよ。」
 「やあ、しっけいな。」
 ベビーカーは、公園にいってさけんだ。ベンチにブランコ、三輪車、口をそろえてさけんだ。
 「やあ、しっけいな。」
 次にママ、通りかかったネコ君けとばして、
 「あんたがわるいのよ。」
びっくりネコ君、屋根にとびあがり、
 「なんて、ぶれいな。」
 すると、街じゅうのネコもネズミもニワトリも
 「なんて、ぶれいな。」
 おしまいに、どこの家もえんとつも、並木も道も電柱も、みいんなめいめいいっせいに、
 「あんたがわるいんだ。」
 「いやいや、きみがいけないよ。」
 「そうじゃないさ。おまえのせいだ。」
 街がみんなで大さわぎ。
 そのころゆうちゃん、ベッドの中。散歩につかれておうちにかえり、すやすやとっくに夢のなか。
 おやすみなさい。